2003年3月8日放送
東京都江東区・村山邸
−下町旅情 隅田川の辺りの現代町家−

2002年12月 完成
敷地面積 107平米(32坪)
建築面積  73平米(21坪)
延床面積 169平米(51坪)
RC造3階建て
建築費: 4000万円          坪単価: 78万円


村山さんのお宅は隅田川の辺に建つRC造3階建て。敷地は細長い「うなぎの寝床型」となっています。この地域は江戸時代には米蔵が建ち並び、多くの船が行き交った場所。建築家のご主人は町家を意識して設計されました。町家に多く観られる中庭にはご主人が大好きな楓を植えています。この地域の歴史と楓をちなんで「泊楓居(はくふうきょ)」と名付けられました。


2階の台所兼食堂は広さ14畳。ここからはすぐ下を流れる隅田川を眺められます。ポンポン船をはじめ、様々な船が行き交います。それを見ながら料理を作るのも趣き深いですね。


奥さんはとにかく客人みんなで料理のできる空間が欲しかったとか。カウンターや作業台を設け、広い作業スペースを確保しています。また、キッチンとダイニングの間に仕切りを設けています。ちょっと視線を遮りたいときには便利ですよね。

事務所は2・3階の中庭を挟んで南側に位置しています。2階は主に所員が仕事をするスペース。南側に大開口を取り、開放的な空間となっています。塩ビ製の目隠しは通りからの視線を遮り、デザイン性も高い優れものです。

事務所の3階スペースは建築家であるご主人の仕事場。広さは10畳。2階のダイニングキッチンの奥にある隅田川を感じられるます。

浴室は置き型の浴槽を設置。天井にはトップライトを設け、太陽光を得て明るい空間となります。浴室の屋根には土を入れ、植物を植えています。このお蔭で断熱効果もあるとか。さらにご主人は地球の温暖化防止に少しでも役立つよう考えたそうです。

リビングは広さ14畳。7メートル近い吹抜けとなっています。こちらは「和」を意識したスペース。

「和」を象徴たして設置された障子を開けると、そこには隅田川。雪見ならぬ、「川見」障子ですよね。低い視界に切り取られた隅田川を眺める。ダイニングキッチンとまた違った趣を味わえますよね。


村山 隆司(むらやま りゅうじ)

1952年   京都府京都市に生まれる
1982年3月 工学院大学大学院建築工学研究科修士課程修了
1982年4月〜1986年3月 (有)山下司建築研究所 勤務
1986年4月〜1996年5月 (有)中山繁信設計室 勤務
1996年6月〜現在      村山隆司アトリエ一級建築士事務所設立
1992年4月〜2000年3月 学校法人文化学院 兼任講師
1992年4月〜2002年3月 専門学校東京YMCAデザイン研究所 兼任講師

受賞
1978年3月 工学院大学卒業設計最優秀賞受賞
1981年4月 世界建築家協会(UIA)主催建築設計競技最優秀フランス賞受賞
1986年7月 「川治温泉駅舎」公開設計競技最優秀賞受賞
1995年3月 「(仮称)千葉市中央図書館・生涯学習推進センター等複合施設」
        公開設計競技佳作入選
1998年12月 TEPCO 快適住宅コンテスト「八街の家」最優秀賞受賞
2000年12月 「中里村新庁舎」プロポーザル佳作入選
2001年10月 「八王子の家」北九州市都市景観賞受賞


村山隆司アトリエ

〒135-0031 東京都江東区佐賀2-1-12 泊楓居2
TEL:03-3641-4834 
FAX:03-3641-4835
E-MAIL:ma8@mx6.ttcn.ne.jp


隅田川が見たいと願望して設計をした建物です。隅田川に面している部分はわずかですが、中庭とスキップフロアの形式を取り入れることで、隅田川と反対側になる部屋からも川面を見ることが出来るようになりました。中庭を挟んで川側が住宅、反対側がアトリエというプラン構成になっていますが、この中庭とスキップフロアの形式がプライバシーの確保、視線の確保、風の抜けの確保、光の取り入れの確保に大変効果がありました。  住まいは、どれだけの土地における条件と住まいの手の要求を、自然体で取り入れることが出来るかだと思います。設計に気負いが無く、自然体であればあるほど、建物は長持ちし、ローコストになり、周りとの快適さを長続きさせることができるのではないかと思って設計をしました。

村山さんのお宅はコンクリート打ちっ放しの建物です。コンクリートながら所々に日本人が育んできた「和」の良さが組み込まれていて、ホッとさせてくれます。建物はご夫婦の住まいでもあり、事務所でもある。しかも、どちらも快適に住まう為に多くの工夫がありました。新しい町家の提案ともなっています。なによりも隅田川がすぐそこに眺められます。雪見ならぬ、「川見」障子。この建物には「和」が生かされていました。