2003年3月1日放送
神奈川県秦野市・村上邸
-木の香り 巨大デッキと離れの浴室-

2002年1月 完成
敷地面積  386平米(117坪)
建築面積  108平米(33坪)
延床面積  148平米(45坪)
木造2階建て
建築費: 2938万円          坪単価: 65万円


村上さんのお宅は工務店を経営しているご主人自らが現場監督を務めました。2階建ての部分が母屋、1階建ての部分が離れとなっています。リビング前には広さ20㎡のデッキも設置。


離れの浴室は壁・天井に杉を、浴槽には水に強い高野槙(こうやまき)使用しています。引き戸を開ければ丹沢山系の眺めが楽しめます。ご主人の念願叶った浴室です。


1階のLDKは和室を合わせて広さ27畳の大空間。天井は吹き抜けとなっています。南側には1階、2階ともに開口を設けました。陽だまりがうれしいですね。

居間兼食堂の床材はカラマツ。机は幅0.95メートル、長さ2.7メートルのタモ材を使用しています。薪ストーブは中国製で4万8千円(煙突別)だったとか。

和室は広さ8畳。現在はお子さんが幼いため、家族の寝室となっています。普段は襖を開けて居間兼食堂の延長として使用しています。和室に置かれている花などはご主人の趣味。なかなかの秀作です。

キッチンは広さ5畳。動きやすい広めの通路と奥行き1メートルの天板。奥さんもも使いやすいと大満足です。奥には食品庫も造り付けられています。

2階スペースは2つの子供室と書斎。間仕切りを腰高に抑えることで開放感を演出。リビングからの吹き抜けともつながっていますから、どこにいても家族の気配が感じられます。

子供室は広さ8畳の空間を2部屋用意。2人のお子さんの遊び場となっています。遊び道具がいっぱい置かれていました。


三澤 康彦(みさわ やすひこ)

1953年 1月8日生まれ
1985年 Ms建築設計事務所 三澤文子と設立
       木造の架構フレームを科学し、現代社会に通じる新しいプロトタイプの木の住まいを研究。
       日本各地の林産地の特性を調査し、地域材を生かした木の住まいを各地で展開。
1995年 淡路阪神大震災によって倒壊した木造の調査、研究、開発の為の木構造住宅研究所を開設。
       現 在 - 林野庁/住宅資材利用技術普及企画委員
       国土交通省/資源循環型木造構工法開発委員
       NPO 木造フォーラム 理事
       Jパネル(杉三層パネル)2001年度グッドデザイン賞 中小企業長官特別賞 受賞

[執筆]
  ★木造住宅の可能性 〈INAX出版〉
  ★これからの木造住宅(共著) 〈丸善株式会社〉
  ★建築思潮 4(共著) 〈学芸出版社〉

[主な作品]
  ★九州から関東まで2001年までの住宅設計 221棟
  ★阪南市・わんぱく公園集会場
  ★南河内森林組合・研修センター
  ★京阪電鉄・ローズタウン個宅集合住宅(松井山手)

Ms建築設計事務所

〒565-0874
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千里事務所E-MAIL:ms-senri@ms-a.com


村上建設

〒259-1306
神奈川県秦野市戸川1354
TEL:0463-75-0300
FAX:0463-75-3120

秦野市郊外の自然豊かな木の住まい。
Ms事務所の仕事は都市住宅も多いが、特に今回は環境に恵まれた丹沢の森から製材した木で家をつくる。まさに、地域材をうまく生かした家づくりである。
その中で、日本の森林の中から生まれた木質パネル「杉三層パネル」を構造・仕上に使用し、耐震金物・Dボルトをセットした家づくりの代表格がこの住まいである。
美しいが表層のデザインだけにこだわる住居ではない。

構造体から出発した木の住まいである。もちろん頑丈という言葉だけではなく、日常の家事動線含めて便利で使いやすくできている住まいであり、いつまでも愛着をもって住める木の住まいである。

村上さんのお宅はとても大らかな感じがする延床面積45坪の建物です。木の質感がいい味を出しています。また時代が育んだ日本建築の良さを活かした上で、現代の生活に合わせ合理的に使いやすくなっています。その余白をどれだけ楽しめるかということでしょうか。離れはご主人の、母屋は奥さんのテリトリーなっています。母屋の2階にはお子さんの部屋が2つありました。お子さんの、そして、家族の成長に合わせて少しずつ形を変えていける余白を大事にした建物といえるのではないでしょうか。