2003年2月15日放送
東京都豊島区・荻野邸
-4階に浴室 ビルの谷間のモダン空間-

2002年4月 完成
敷地面積   77平米(23坪)
建築面積   48平米(14坪)
延床面積  135平米(41坪)
RC造4階建て
建築費: 3200万円 坪単価: 78万円


荻野さんのお宅は、都心のビルの谷間、23坪の旗竿敷地に建てられたお宅。門の幅はわずか2.4メートル。


1階部分は広さ20畳のガレージとなっています。バイク3台が大切に並べられていました。このバイクはご主人の趣味。建築家もバイク仲間のひとりだとか。階段は宙に浮いたような形、片側で支える片持ち型(キャンティーレバー)となっています。階段の上にはガラスグロックのトップライトを設置。


2階スペースの中心に位置するのが階段。階段の両脇をガラスで仕切り、右手が寝室、左手が奥さんの書斎になっています。

3階は広さ24畳のLDKとなっています。3階の中心も階段。2~4階が階段によって仕切り無くつながっています。そこで冷暖房効率を考え、階段の両脇にガラスの仕切り扉を設置しています。

リビングは高さ4.5メートルの吹き抜けとデッキで広さと開放感を演出。デッキの外に壁を設け、プライバシーも確保しています。広がりを感じさせながら、プライバシーも守る。見事な設計ですね。

キッチンはシンプルなデザイン。奥さんとしては収納を多く設置して欲しかったそうです。しかし、ご主人は使わない物を入れておく収納はいらないと最低限のスペースしか設置されなかったとか。冷蔵庫横には棚が設置されています。こちらはご主人の力作。

4階には洗面・浴室を設置。壁や仕切りがガラスのため、ブラインドで外からの視線を遮ることもできます。トイレのペーパーホルダーとスイッチはキャスター付きの台に取り付けてあります。スイッチは赤外線操作のため、どこに置いても使用可能だとか。

浴室は白色を基調とした空間。東側のデッキとつながっているため、開放感がありますね。朝には朝陽を浴びながら入浴も楽しめるそうです。


細谷 功(ほそや いさお)

1952年 埼玉県生まれ
1976年 東洋大学工学部建築学科卒業
1976年~77年寺井徹設計室
1978年 寺井・岡野設計事務所
1979年 細谷功+スタジオ4設計設立
1991年~東洋大学非常勤講師
1997年 彩の国さいたまアーチスト・イン・レジデンス実行委員
2000年 大井町総合計画審議会委員

細谷功+スタジオ4設計

〒356-0053 埼玉県入間郡大井町大井964-1
TEL:049-266-5036 
FAX:049-267-4066 
e-mail:studio4@sb4.so-net.ne.jp


どうしても都心に住みたいという荻野さんはいくつかの物件の中から、池袋の商業地域で防火地域にある20坪あまりの土地を入手されて計画がスタートしました
その土地は路地状敷地と呼ばれる旗竿状の形状で不動価値は低く見られがちですが、道路斜線制限の影響を受けにくく、玄関までのアプローチも長く取れ、狭小感を払拭できるメリットもあります。
当初からコンクリート打ちっ放しのシンプルな住宅を希望されていた荻野さんのたっての要望のひとつはバイク3台を収納できるスペースの確保でした。私もライダーのひとりとしてバイクに対しての愛着は十分理解できます。
日頃感じているのですが、コンクリート打ちっ放し住宅に住む感覚はバイクに乗る感覚に通ずる不思議な快感があります。
1階はバイクメンテナンススペースと書斎。2階は寝室と個室。3階は2層吹き抜けとなったリビング・ダイニングキッチン。そして、4階がバスコートに面した開放的なバスルームとなっています。

郊外や都心に家を建てたり、マンションを購入したり、家を持つには色々な選択肢があります。荻野さんは都心を選択されました。そのためには少々の不便さは覚悟の上。収納はコンビニやスーパーを変わりに利用すればいい。お客さんが大勢きたらファミレスを利用すればいい。文化施設など色々あるわけですから、その利便性を大切になさっての都心での生活であるわけです。また、建蔽率、容積率も緩やかなので敷地に対してかなり大きな建物が建てられます。そうなると問われてくるのが外観と室内のデザインだと思います。ご主人はバイクが好きであり、何よりも建築好きである。そして、昔ながらの友達の建築家と話し合いながら、これだけのもを造られました。荻野さんのお宅は住むための機械を超越した非常に心休まる豊かな空間だと思います。