2003年1月18日放送
薪ストーブのある家 シリーズ

東京都多摩市・大槻邸
-軒下空間 宙に浮く暖炉のある家-

2001年7月 完成
敷地面積   166平米(51坪)
建築面積    74平米(23坪)
延床面積 104.5平米(32坪)
鉄骨造2階建て
建築費: 2143万円 坪単価: 67万円


大槻さんのお宅は1階より2階の方が広い床面積を確保しています。2階が宙に浮いたような形になっていますよね。庭の盛り土は施工時に出たものをそのまま生かされました。ハンモックは建築家からのプレゼントです。


1階の応接室。現在は奥さんが英語教室を開いています。壁・天井・床材にはラーチ合板を使用。 南側の大開口はガラス窓を引き込み、開け放つこともできます。暖かい時にはこちらでバーベキューを楽しまれるそうです。


こちらの部屋は広さ6畳。将来の寝室となっています。現在はお子さんが幼いため、家族4人で子供室で寝ているそうです。開口も小さく、暗がりを楽しむような部屋となっていますね。床下収納も設置されています。

2階のLDKは広さ22畳、天井高4メートルの大空間。白を基調にした明るく開放的な空間です。

ダイニングスペースには折畳式のダイニングテーブルが置かれていました。広げれば、ひょうたん型に様変わり。多くの来客時にも対応でき、デザインも変化する優れものです。しかもキャスター付きで移動も簡単。

薪ストーブは凝ったデザインとなっています。まず煙突はシルバーのものを使用。本体には鉄枠を付け、その中にはご家族で川原に行って拾ってきた石が入っています。安全でデザイン性にも優れた薪ストーブとなっていますね。

キッチンはアイランド型。どこにいてもカウンターに手が伸ばせ、お子さんも料理のお手伝いをしてくれるとか。カウンター下は空間を作ることで掃除も簡単。実はこれ、家全体の浮いたイメージに合わせたデザインになっているそうです。

子供室は広さ7畳。こちらのスペースは2人のお子さんが大きくなったら2つに仕切り予定だとか。なんと仕切るものは可動式の収納ボックス。可動式の収納ボックス2つを向き違いに並べて間仕切りとしても使うそうです。間仕切り兼収納となります。これは良いアイデアですね。


堀場 弘  工藤和美

堀場 弘
1960  東京都出身
1983  武蔵工業大学建築学科卒業
1986  東京大学大学院建築学科修士課程修了
      株式会社シーラカンス創設 代表取締役
1998-  シーラカンスK&H株式会社に改組
現在、 代表取締役/武蔵工業大学非常勤講師

工藤和美
1960  福岡市出身
1985   横浜国立大学建築学科卒業
1986  株式会社シーラカンス創設 
1991  東京大学大学院博士課程修了
1998-  シーラカンスK&H株式会社に改組 
現在、 代表取締役/東洋大学教授


シーラカンスK&H

住所:東京都杉並区和泉3-12-8加丸ビル2F
TEL03-5355-0635 FAX03-5355-0636
Mail:kandh@coelacanth-kandh.co.jp


大槻さんと様々な案を検討し、何度も話をしていくなかで、塀のない開かれた頭でっかちでちょっとひょうきんな家の骨格は生み出されました。部屋は、単純化することで家族の成長、変化へ対応できることがわかりました。塀をなくそうとするご近所への信頼が、郊外住宅地の広がりを改めて感じる提案になりました。ご夫婦からは子供たちの成長を願う暖かさと開かれた気持ちが感じられます。それが、建築作品としての質も高めたのだと思います。
小さな部材を最大限有効に働かせる架構や暖房など設備的な解決、丁寧な施工によって、快適な生活の器として実現させることができました。協力していただいたみなさんに感謝します。

大槻さんのお宅は外観、内部ともにセンスがとてもいいですね。しかし、デザイン過剰というわけではありません。ご夫婦ともに造形美に興味をお持ちで、特に奥さんが家造りを頑張られたそうです。建物はキャンティ-レバー。それと合わせて家具類も少し浮かせて軽快感を出しています。これから家族4人と愛犬が軽快に人生が過ごせる家という感じが致しました。