2025年7月19日(土)放送

- どこか懐かしい実家のような家 - 東京都世田谷区・東邸

竣工
2023年10月
敷地面積
95.8㎡(29.0坪)
建築面積
38.2㎡(11.6坪)
延床面積
76.5㎡(23.1坪)
構造
木造在来工法
建築費
3399万円(税込)
坪単価
147万円

北西面 外観

“実家ver2.0”をコンセプトにデザインされた家。外観は蔵を思わせるイエ型。中央の大きな窓も目を惹きます。墨色の外壁は左官仕上げ。

1階 LDK

1階は、大黒柱を中心に4つの領域を配置した、日本民家の田の字プランをベースにした間取り。天井高は3.6m。玄関土間に机を造作し、仕事場として使用しています。

大黒柱

大黒柱に使用しているのは吉野桧の錆丸太。切り倒した丸太の皮をむき、地面に触れないよう切り株に載せて放置することでカビを付着させ、マダラ模様にしたものです。

2階 廊下

開放的な1階に対し、2階は天井高を抑えた屋根裏の雰囲気。廊下をスノコ状にして、空気の循環を促します。

2階 予備室

2間の北西側にある予備室は、通常時は開放的していますが、画像右手に収納された戸を引き出すことで、独立した個室になります。

2階 寝室・浴室

寝室と浴室の間仕切りは引き戸なので、開けば一体空間になります。隣接する施設の庭に面しているため、借景を楽しめます。

設計者プロフィール

浜田晶則

1984年 富山県生まれ
2010年 首都大学東京(現・東京都立大学) 卒業
2012年 東京大学大学院修士課程 修了
2012年 studio_01 設立
2014年 浜田晶則建築設計事務所 設立
2014年 teamLab Architects パートナー
事務所名
株式会社浜田晶則建築設計事務所
所在地
東京都中央区日本橋小舟町14-7 SOIL Nihonbashi 301
電話
03-6801-5500
FAX
03-6801-5500
Eメール
office@aki-hamada.com
URL
https://aki-hamada.com/

設計者のひとこと

民家は生活文化を象徴する最も大きな民藝の一つであるといえます。日本民家の系譜としての現代民家のスタンダードをめざして設計しました。都市風景に対して切妻の屋根が家の象徴となり、内部の人の動きやモノを表現する大きな縦長のディスプレイと棚を計画しました。それは町家における見世であり、電子モニターのように前面の道との視覚的な交流を可能にします。ライターであるクライアントに新しい家での生活像の文章を書いてもらい、その断片の情景を民家の要素といえるエレメントや構成を援用しながら設計しました。大黒柱、格子天井、床の間、箱階段、土間、踏石など。細く華奢につくらずに安心感のあるエレメントを集積し、用の美を追求しています。吉野桧の錆丸太を中心とした田の字型平面により、場の特性が4つに緩やかに分けられます。華奢で軽く工業的な美ではなく、自然物の力強さを中心に据え、手仕事による美をもつ、現代の民家をめざしました。