2025年5月17日(土)放送

- 桜並木に寄り添う無柱大空間の家 - 東京都・大村邸

竣工
2024年2月
敷地面積
195.9㎡(59.3坪)
建築面積
135.9㎡(41.1坪)
延床面積
265.0㎡(80.2坪)
構造
1階 鉄筋コンクリート造 / 2階 木造 一部鉄骨造
建築費
坪単価

東面 外観

桜並木に面した、1階が鉄筋コンクリート造、2階が木造の家。板目を写したコンクリート打ち放しの外壁と豊かな植栽で、街並みに溶け込みます。

2階 LDK

2階LDKは、シザーズトラスによって実現した30畳を超える無柱空間。差し掛け屋根の段差部分に設けた水平連続窓で採光と通風を行います。

2階 テラス

LDKから連続するテラス。手摺のルーバーは外部からの視線をカットしつつ桜並木の景色を取り込める絶妙な角度。さらにメッシュのカーテンも付けています。

1階 階段ホール

2階の主室へと誘う階段はキャンティレバー。右側の手摺は籐巻き、左側はカッパーカラーに塗装するなど手触りも意識した仕上げ。

2階 浴室

浴室の床・壁は十和田石、天井にはヒノキを張っています。浴槽もヒノキ製。窓を開けば、テラス越しに桜並木を望めます。

2階 寝室

2階東端にある寝室。建主は日の出と共に目覚め、日が落ちれば休むという生活を行なっているため、朝日が入るこの位置に寝室を設けました。

設計者プロフィール

小嶋伸也 + 小嶋綾香 + 磯田和明

小嶋伸也 + 小嶋綾香
ともに隈研吾建築都市設計事務所を経て独立

磯田和明
伊東豊雄建築設計事務所を経て独立
事務所名
株式会社小大建築設計事務所
所在地
東京都目黒区自由が丘3-14-8
電話
03-5432-9794
FAX
-
Eメール
koooarchitects@ko-oo.jp
URL
https://ko-oo.jp/

設計者のひとこと

豊かな桜並木沿いの住宅地に建つ住宅です。
小川を暗渠化した桜並木に面し、眺望と通風と採光に恵まれた豊かな自然環境です。桜並木のある南側を最大限に開くことを考えると、南北で階高を変えることが理にかなった建ち方であると気づき、東西には長く伸びやかな空間をつくりつつ、南北にはスキップフロア状に段差のある水平面を差し込んでいく建築構成としました。この面によって生まれる隙間を、光や風や人の通り道と考えることで、住環境をつくることを試みています。
構造は、1 階RC 造、2 階木造(一部鉄骨造)です。2 階は、桜並木に開放された柔らかく暖かで大らかな家族団らんの場を実現するために、最大12m スパン(リビングダイニング7.7m スパン)を木造で無柱とすることとし、105x270 の大梁を半割の60x240 で挟むシザーストラスを910mm ピッチで組み、直行する天窓部分にフィーレンデールトラスを組むことで、水平力を仕上げも兼ねた野地板だけでまかなう、小梁のない端正で力強い大屋根としています。
環境は、庇や壁で日射を遮る建築構成と十分な断熱性能、自然通風と自然採光を最大化した、パッシブデザインを基本としています。南北に流れる定常風を取り込んだ自然換気のため、1 階2 階ともに南面に大きな開口部を設け、重力換気も利用して建物頂部の天窓から風を抜く構成としています。冬季には、建物頂部にたまる暖気を回収し、1 階窓下や浴室に送ることで、家全体に暖気が循環するように設計しています。