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東京マイスター

  • 2024年4月22日(月)

    『三味線の匠』

  • 優れた技能を持ち、模範となると東京都から認められた技能者「東京マイスター」を紹介します。
    楽器修理工の髙𣘺(たかはし) 定裕さんは、この道37年。東京都の伝統工芸品「東京三味線」の製作・修理において高度な技術と知識が評価され、東京マイスターに認定されました。
    三味線は「胴」「棹(さお)」「糸巻き」などのパーツがあり、機械化などによって分業で作られることが多いそうですが、東京三味線は棹作りから仕上げまで、1人の職人が行うのが特徴です。
    今回は、棹と胴を接合するために胴に穴をあける作業を見せてもらいました。留め具や接着剤は使用しないため、棹の太さにピッタリと合う穴を彫る技術が求められます。すき間があいてしまうと、三味線の良い音が出ないため、ノミやヤスリを使って細かい調整を行いながら完成させます。
    胴に張られている皮の張り替え修理の依頼も多いそうです。「木栓(きせん)」という道具を使い、皮を張ります。この張り具合で三味線の音色がほとんど決まってしまうため、とても重要な作業だといいます。
    また、髙𣘺さんは小学生への体験教室なども行っており、「子どもたちに三味線の魅力・楽しさを伝えていきたい」と話しています。

  • 2024年4月23日(火)

    『着付けの匠』

  • 優れた技能を持ち、模範となると東京都から認められた技能者「東京マイスター」を紹介します。
    着付師の井達(いだて) 登美子さんは、この道54年。新しい帯結びの創作などが評価され、東京マイスターに認定されました。
    井達さんは2年前に「碧天(へきてん)」と名付けた新しい帯結びを考案。太陽の日差しなど“自然”をイメージした華やかな帯結びです。2022年に開催された「トップマスターズモード発表会」で披露しました。特に新しい部分は、ループ状の“ひだの重なり”。約50年のキャリアを経てやっと創り出せた形だそうです。成人式などの晴れ着に合わせる袋帯を使い、まず台の上で形を作り上げてから体に装着します。折り目の長さを定規を使って正確に測りながら、きれいなループ状の形を作り上げました。
    井達さんは「まだ勉強中。チャレンジすることはとても楽しい」と話しています。

  • 2024年4月24日(水)

    『桐たんすの匠』

  • 優れた技能を持ち、模範となると東京都から認められた技能者「東京マイスター」を紹介します。
    木製家具製造工の村井 正孝さん(77歳)は、この道55年。桐たんす製作の伝統的な技術が評価され、東京マイスターに認定されました。
    桐たんすは、通気性、耐火性、吸湿性に優れ、古くから重宝されてきました。今回、たんすの天板を作る作業で匠の技を見せてもらいました。質の良い部分だけを厳選した桐材は、一枚一枚の幅が狭くなるため、何枚かつなぎ合わせて一枚の大きな板を作ります。接着する面をかんなで削った後、接着剤をつけて繋ぎ合わせ、「端金(はたがね)」という道具を使って固定し1日乾燥させます。その後、繰り返しかんなをかけると、接着した部分の段差がなくなり、光沢のある滑らかな表面が生まれます。そうすることで汚れにくく、水をはじくようになるそうです。
    村井さんは、お客さんから「何年経っても使っているよ」と言われるのが嬉しいと話しています。

  • 2024年4月25日(木)

    『木版画の匠』

  • 優れた技能を持ち、模範となると東京都から認められた技能者「東京マイスター」を紹介します。
    木版画彫師の長尾 次朗さん(59歳)は、この道41年。東京の伝統工芸品「江戸木版画」の彫師として、その精巧で緻密な技などが評価され、東京マイスターに認定されました。
    江戸時代に技術が確立した江戸木版画は、絵師・彫師・摺師(すりし)の分業で製作されています。絵師が描いた絵を基に、彫師が版木を彫ります。“色の違い”によって彫る部分を変え、複数枚の版木を作ることで、多色摺りが可能になりました。
    葛飾北斎の「冨嶽三十六景 甲州石班澤(こうしゅうかじかざわ)」の版木を彫る作業を見せてもらいました。特に難しいのが、漁をする人物が持っている網の部分の“カーブしている細い線”。絶妙な力加減で、滑らかな曲線になるよう丁寧に仕上げていきます。緻密な絵を正確に彫るため、道具にもこだわり、自分の手に合わせて細工をしたり、作ることもあります。
    また、木版画普及のために、伝統的な浮世絵だけではなく、猫の絵を版画にしたハガキなども製作し、新しい作品づくりにチャレンジしています。
    長尾さんは「新しいものも作りつつ、昔ながらのものも製作し伝統を守っていきたい」と話しています。

  • 2024年4月26日(金)

    『金属熱処理の匠』

  • 優れた技能を持ち、模範となると東京都から認められた技能者「東京マイスター」を紹介します。
    自動車や飛行機などの金属部品の熱処理加工会社で働く澁澤 直哉さん(50歳)は、「金属熱処理工」としての技能が認められ、東京マイスターに認定されました。
    金属熱処理とは、金属に加熱と冷却を行い 製品の形を変えず、硬さ・強さ・耐衝撃性などを高める作業のこと。澁澤さんは、この金属熱処理の具体的な条件を記した「作業指示書」を作成しています。金属の材質や形状などによって加熱する温度や時間などを正確に見極めて指示書を作成し現場に渡します。この道20年という澁澤さん。長年の経験と知識によって作られた指示書を基に最適な条件で金属熱処理加工が行われ、現場の熟練工たちからも頼りにされる存在です。
    現在、澁澤さんが中心メンバーとなって進めている事業が、航空機部品の金属熱処理加工。飛行機が離着陸する際、補助翼を出し入れする部品の一部として、来年就航予定の新型旅客機に使われます。
    また、澁澤さんは後進技能者の指導・育成にも力を入れています。
    澁澤さんは「さらにスキルアップを目指して頑張りたい」と話しています。

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