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#24『山椒』

スペース スペース 今回の食材は、春から夏にかけてのお料理の味をピリリと引き締めてくれる山椒。山椒は筍のえぐみ消す日本の味覚です。と3000年前の縄文時代の遺跡から山椒の化石が出土しています。山椒は有史以前から日本にあり、主に獣肉と組み合わせて食べていたのです。山椒は日本古来の随一の香辛料。肉や魚など生臭いものを食べるためには不可欠で、かつて日本人は、塩と山椒だけで調味し、暮らしていたのです。今日は日本人が山椒をどのように利用してきたのかを探ります。 スペース
スペース スペース 「木の芽」といえば山椒の芽のこと。かつて山椒は日本中で家々の庭に植えられ、利用されてきました。
春になると芽が出、日本中でその独特の香味が好まれてきました。家のそばに植えられるのは魔よけとしての意味もあったそうです。宮崎県椎葉村は山椒の村。山椒は神聖な木とされています。山椒は4〜5月に葉を味噌と合せたり、天ぷらにします。6月末には実を漬物にします。木はすりこぎに。昔は樹皮を木炭とまぜて川に投げ入れ、魚を痺れさせて捕っていたといいます。
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スペース スペース 山椒の古名は「はじかみ」…実がはぜる様子(「はじくみ」)から。古事記の神武天皇の歌にも登場します。「みつみつし久米の子らが垣本に植ゑし椒(はじかみ)口ひひく吾は忘れじ撃ちてしやまぬ」これは、戦いに臨む兵士に『山椒がひりつくようにいまいましい相手なので頑張ってやっつけて来い』と呼びかける歌。それほど山椒は日本人の食生活に欠かせないものでした。 スペース
スペース スペース しかし、山椒が唯一の香辛料だった時は終わりを告げるのです。中国の呉国から生姜が伝来し、「呉はじかみ」と呼ばれるようになります。そして生姜が一般に広まるにつれ、いつしか「はじかみ」の呼び名は生姜のことをさすようになってした。その後、様々な香辛料が伝来し、仏教伝来以降は肉食禁止令により肉との食べ合わせがなくなった事もあり“なんでも山椒で食べる”時代は終わり、その存在感は薄れたかに見えます。しかし!日本人は山椒を忘れませんでした。南北朝時代の料理法を記した「大草家料理書」には鰻の蒲焼などの料理に使われていたという記述が見え、現代でも鰻に山椒は欠かせません。鰻の生臭さを抑えて香味をつけます。実を粉にする粉山椒は、山椒の実の皮をすって作った香辛料、肝には山椒の芽の醤油煮、にが玉(胆のう)の苦味を和らげます。 スペース
スペース スペース さらに、室町時代の記録には「鞍馬の木の芽漬」が記されています。今も鞍馬は山椒の佃煮で有名。これらの調理法は江戸時代中期、醤油が一般に普及するとともに広がり、山椒は再び脚光を浴びていくのです。 スペース
スペース スペース また、味噌に山椒を混ぜて豆腐に塗り、焼いた田楽なども庶民のおやつとして好まれたようです。「ぴりりと辛いは山椒、すいすい辛いは胡椒…」と売りに来る山椒は、日本の食卓を豊かにしてくれる香辛料となりました。古代多用された山椒は、時を経てほかの調味料とあわせることでその独特の香味を楽しまれるようになりました。 スペース
スペース スペース 医食同源の国・中国の山椒料理と言えば麻婆豆腐。韓国では「唐辛子は17世紀に日本を経て韓国に伝わったもの。前は、山椒がよく使われていたようです。」山椒は現在、寺の精進料理に残っています。 スペース
スペース スペース それぞれの国のそれぞれの気候にあった美味しい料理になっていったのです。昔から山椒は薬として利用することもありました「山椒はおなかの薬として良く使われ、特に胃が痛くて寒気がするときなどに利用されます。」16世紀に中国で書かれた本にも『久しく服せば皮膚を開き、血脈を通じ…』と書かれています。お正月のお屠蘇も、山椒をはじめ各種の生薬を調合した“屠蘇散”を酒に浸して作るもの。今年も健康でありますように、との願いをこめて飲むお薬だったようです。 スペース
スペース スペース どじょうの臭みを消し、風味をつけるため山椒をふんだんにかけて食べる柳川鍋。江戸の庶民に大流行しました。「山椒をつかみ込んだる小なべ哉」小林一茶。古代から現在に至るまで、山椒は、私達の食卓を美味しく豊に健やかに彩り続けてきてくれたのです。 スペース
スペース スペース 【取材手帖−今回お世話になった取材先−】

1.竜神館
宮崎県東臼杵郡椎葉村大字下福良2090
TEL:0982-67-2261


2.鶴富屋敷
「ヤマメのせごし」「里芋の木の芽田楽」「豆腐の木の芽田楽」
宮崎県東臼杵郡椎葉村大字下福良1818
TEL:0982-67-2320


3.京料理 菊乃井
「木の芽和え」「よもぎ豆腐と筍のお碗」
京都府京都市東山区祇園円山真葛ヶ原
TEL:075-561-0015
HP:http://f1.aaacafe.ne.jp/~kikunoi/support_files/PROJECTS/kyotomurata/HTML/e/index.html


4.二軒茶屋 中村楼
「白魚鍋」
京都市東山区祇園町南側八坂神社鳥居内
TEL:075-561-0016


5.京・くらま 林
「木の芽煮」「実山椒」「葉山椒」「ちりめん山椒」
京都市左京区鞍馬本町338
TEL:075-741-2028
HP:http://kyokurama-hayashi.com/tsukudani.html


6.赤坂宮川
「鰻の蒲焼」「肝の山椒煮」
東京都港区赤坂5-4-13
TEL:03-3583-3136


7.四川飯店
「麻婆豆腐」「水煮豚肉」
東京都千代田区平河町2-5-5 全国旅館会館ビル5・6F TEL:03-3263-9371


8.ウチダ和漢薬
東京都荒川区東日暮里4-4-10
TEL:03-3806-3846
HP:http://www.uchidawakanyaku.co.jp


9.駒形どぜう 浅草本店
「どぜう丸鍋」「若鶏の山椒焼き」「柳川鍋」
東京都台東区駒形1-7-12
TEL.03-3842-4001(代)
HP:http://www.dozeu.co.jp/ 
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悠久の翼
作詞・作曲:綺羅
空には空の大地が 雲居に水を得て
たゆたう心洗うよう この身にふり注ぐ

山には山の細波 花散る風仰ぎ
里居を忘れた小鳥が 眠りにつく奏

時知らず 芽吹いてく
矢羽根のあたたかいぬくもり

万世に 続いてく
いとなみを はかなき事に逸る命
大空 翔け昇る

月には月の縁が あるから生きられる
愛しい万物を守るため 光を湛えてく

月には月の縁が まばゆい影おとし
救いを求める万物へと その手を差し延べる

翼を高く広げて はばたくその時に
一粒こぼれ落ちた実が やがては花になる

月には月の縁が あるから生きられる
愛しい万物を守るため 光を湛えてく


※上記の曲は、販売しておりません。




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