第807回『新米』
11月23日放送予定
■実りの秋のごちそう!新米

■実りの秋のごちそう!新米
食欲の秋。誰もが待ちわびた、実りの季節がやってきました。今日の主役は、光り輝く「新米」です。東京・深川の木場公園で行われる秋の楽しみは、新米のすくい取り。毎年、大行列ができるほどです。江戸時代、深川は、水路を通じて関東各地から運ばれた米の集散地でした。そんな、米で栄えた深川ならではのユニークな芸能も伝わっています。米俵を自由自在に操る「深川の力持」とは、いったい??
■江戸っ子が愛した深川めし

■江戸っ子が愛した深川めし
深川の名物と言えば、あさりの味噌煮をご飯にかけた深川めし。「お米がおいしくないと深川めしはできない」と語るのは、「深川宿」の2代目・日東寺麻紀さんです。深川めしは汁気があるので、水分が多い新米は少し固めに炊き上げます。味の決め手は、江戸前のあさり。ふんだんに使って、赤味噌で味を整えます。新米に、あさりの旨味と味噌のコクが絡み合って、えも言われぬ味わい。忙しい江戸の漁師たちが、仕事の合間にサッと食べたのが始まりと言われています。もう一つの深川めしが、炊き込みにしたもの。こちらは、江戸の大工衆に親しまれたそうです。深川を支えた人々に愛されてきた味わいです。
■米屋が伝授!新米の炊き方

■米屋が伝授!新米の炊き方
深川には、老舗の米屋も多く残っています。「三河屋精米店」の看板娘は、3代目の鈴木萌子さん。新米の試食販売をして、炊きたてのおいしさを味わってもらっています。そんな萌子さんに、おいしい新米の炊き方を教えていただきましょう。まず、「水を入れたらすぐ流す」を2回、繰り返します。新米は水を吸いやすいので、手早く米ぬかを洗い流すのです。さらに、米を研いでいると出てくる、白い液体の正体をご存知でしたか?どのくらい研ぐかによって、炊きあがりのおいしさが変わってくるそうです。目からウロコの、新米の炊き方。家庭でも試してみたいですね。
■老舗米屋の愛情おにぎり

■老舗米屋の愛情おにぎり
「吉野商店」には、昼時になると客が押し寄せます。目当ては、精米し立ての新米で握ったおにぎり。様々な産地の米を、日替わりで提供しているのです。愛情を込めて握るのは、吉野ゆき子さん。“中はふんわりと、外はしっかり崩れないように”を心がけているそうです。一番人気の具材は、自家製の梅干し。柔らかく甘い新米との相性は抜群です。たらこの、弾ける旨味と塩気もぴったりです。毎朝、違う銘柄の米を炊くのは、夫の佑治さん。その炊き方には、おにぎりを作る妻を気遣う優しさがありました。
■東京で発見!知られざる米どころ

■東京で発見!知られざる米どころ
八王子市高月町は、知る人ぞ知る東京の米どころです。この日、行われていたのは、稲刈り体験。米農家の石川研さんは、東京にも田んぼがあることを知ってもらいたいと、毎年、イベントを開催しているのです。今年、収穫した米の出来は上々。そんな新米にぴったり合う料理を、石川さんの妻・康子さんに見せていただきます。まず、豚肉に塩を振ったら、舞茸やネギを巻いていきます。フライパンで焼き目をつけたら、ゆずを搾って。ゆずの爽やかな酸味と塩だけのシンプルな味付けは、新米の甘味を際立たせてくれますね。
■米作りを継ぐべきか…。農家の葛藤

■米作りを継ぐべきか…。農家の葛藤
石川さんの父・喜一さんは、江戸時代から受け継がれてきた田を守り続けてきました。しかし、当時、高月町の米は市場の評価が低く、安く取り引きされていたそうです。石川さんは、農業高校から専門学校へ進学しましたが、父とは違う仕事を目指したいと園芸を学びました。卒業後は、資金を借り入れて温室を作り、当時、ブームになっていたシクラメン栽培を始めたのです。米作りで出たワラやモミなどで堆肥にする知恵も磨き、シクラメンは軌道に乗りました。15年かけて、借入金の返済も済ませることができたのです。そんな矢先、父・喜一さんが病気で他界。石川さんは、米作りを継ぐべきか悩んだ末、続けることを決意します。石川さんを突き動かした、ある想いとは?
■高月町の米を広めたい!農家の挑戦

■高月町の米を広めたい!農家の挑戦
石川さんは、まず、近隣の農家と知恵を出し合い、高月町の米の付加価値を高める方法について話し合いました。様々な意見が出ましたが、これまでバラバラに作っていた品種を統一し、ブランド化しようという話がまとまったのです。選定したのは、さっぱりとした口当たりで甘い「キヌヒカリ」でした。そして、これまで使っていた化学肥料をやめて有機肥料に変更。さらに、石川さんは、堆肥として牛糞を撒くことに目をつけたのです。しかし、窒素分が多い牛糞を与えすぎたため、栄養過多で丈が高くなり過ぎ、風で倒れてしまいました。困り果てた石川さんが、次に考えた秘策とは?
■未来に羽ばたく高月の新米

■未来に羽ばたく高月の新米
秘策となった堆肥によって、質の良い米が採れるようになりました。次に石川さんは、PR活動にも力を入れ始めたのです。直売所を開き、「高月清流米」の名で売り出したり、市内の小中学校の給食にも提供しました。すると5年前、荻窪に店を構える「森田屋米店」から、石川さんたちの米を扱いたいと連絡が入ったのです。森田さんの店でも、高月清流米は評判を呼び、2017年には「日本ギフト大賞」に選ばれ、有名な米どころと肩を並べるほどになったのです。石川さんのたゆまぬ努力が実った瞬間でした。
取材先
制作担当
【ディレクター】中村 朱里(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】土橋 正道(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】太田 伸(テレビ朝日)





