第791回『牛肉』
8月3日放送予定
■今ブーム!“経産牛”

■今ブーム!“経産牛”
今日の主役は、夏を乗り切るスタミナ源「牛肉」です。サラリーマンで賑わうビストロでは「経産牛」が大人気!「経産牛」とは子牛を産んだり、ミルクを搾り終えた母牛のこと。噛めば噛むほど味わい深い身は、今ひそかなブームを呼んでいます。和食料理店ではとろとろの肉豆腐に、恵比寿のフレンチでは豪快に焼き上げたステーキに仕立てます。イタリアンの有馬邦明シェフも経産牛ファンの一人。牛肉卸しの荻澤紀子さんから仕入れた経産牛を使っています。有馬シェフが惚れ込んだという特別な経産牛には、一体どんな物語があるのでしょうか?
■のびのび育つ放牧牛

■のびのび育つ放牧牛
有馬シェフが使う肉は岩手県の北部・奥中山高原のもの。そこは夏でも涼しくジャージー牛にとっては最適の場所。牧場を一代で築いた三谷剛史さん、雅子さん夫婦は放牧酪農で牛を育てています。好きな時間に牛舎を出入りできるこの農法は牛にとってストレスが掛からず、ミルクも濃厚で深い味わい。牧場を始めて16年ですが、夫婦は避けがたい現実に納得できずにいました。それは、10年近く共に過ごした、ミルクが出なくなった母牛は“廃用牛”と呼ばれ、ペットフードなどの加工品になるということ。そんな三谷さん夫婦に、和牛農家の中屋敷敏晃さんと牛肉卸しの荻澤紀子さんが手を差し伸べました。それは牛を“再肥育”し、おいしい肉に甦らせること。生まれ変わることを信じて母牛を送り出します。
■甦る経産牛

■甦る経産牛
“再肥育”とはお産を終えた母牛の固くなってしまった肉質を、おいしく食べられるように育て直すこと。しかし、乳を絞り終えたジャージー牛は痩せ細り、改めて肉用として出荷するのは難しいとされてきました。中屋敷さんは肥育専用の飼料を与えましたがなかなか食べません。放牧酪農でのびのび育った牛のストレスを少しでも緩和する為、牛舎を清潔に保ち、餌を与える時は食べやすいように工夫した餌箱も用意。すると徐々に餌を食べ始めたのです。さらに肉をつける為に、シードルを作る際に出るリンゴの搾りかすを飼料に混ぜ、酸味で牛の食欲を刺激しました。様々な工夫のおかげで見違える程大きくなった「経産牛」。いよいよ出荷です…!
東京で受け取ったのは牛肉卸しの荻澤紀子さん。新たに良質な脂をまとった「経産牛」は、料理人からの注文が絶えません。さらに懇意にしている取引先には直接足を運んで、肉の特徴を自ら説明します。さて、今回イタリアンの有馬シェフも肉を仕入れた一人。一体どんな料理に仕立てるのでしょうか?
■骨の髄までおいしい経産牛

■骨の髄までおいしい経産牛
まずは、柔らかいヒレ肉を厚切りにして、塩と粗糖(砂糖)を振りオリーブオイルでソテーします。粗糖を振ることで綺麗な焼き目を付けるだけでなく、肉汁を閉じ込めることができるのです。さらにオーブンで2分、余熱で20分、丁寧に火入れをしたら、特製のデミグラスソースを添えて… “経産牛のステーキ”。続いては骨付きのスネ肉。スジの多いこの部位を柔らかくする為に有馬シェフが取り出したのは、三谷牧場から取り寄せたヨーグルト。これに肉を漬け込み、一晩寝かせます。そして、柔らかくなった身をソテーし、炒めた香味野菜やトマトソースと共に6時間煮込めば…ミラノの郷土料理“オーソブッコ”に。有馬シェフは「経産牛」に関わった人たちに味わってもらいたいと店に招待しました。情熱のバトンで繋いだ牛の試食会。柔らかく、優しい味わいに大変身した「経産牛」…皆さんの反応は!?
取材先
制作担当
【ディレクター】鴨下 満(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】土橋 正道(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】太田 伸(テレビ朝日)





