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毎週⼟曜⽇ あさ9時30分から

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過去の放送

第757回『サケ』

12月1日放送予定

■日本海の冬の味覚、サケ

■日本海の冬の味覚、サケ

冬の訪れを感じ始めるこの時期、故郷の山形県に帰ってくる魚がいます。それが日本海の冬の王者・サケ!庄内地方は、全国でも有数のサケの産地。船を覆い尽くすほどの大漁に漁師の顔にも笑顔がこぼれます。庄内では、サケのことを「魚(うお)」から転じて“イオ”と呼び「魚の中の魚」として珍重してきました。鮭漁の網元が営む評判の料理宿では、サケの料理が大人気です。大胆に輪切りにしたサケを酒粕と味噌の甘ダレで熟成させ、串を刺し立てて焼く浜焼きは余分な脂が落ち、身がふっくらと仕上がります。蒸したサケにあんをかければ…、ハレの料理に使われるサケのあんかけに。地元では“はららご”と呼ばれるイクラをたっぷりご飯に山盛りにすれば、まるで美しい宝石のよう。サケが華やかに料理を彩ります。

■もっと地元にサケを!孵化事業奮闘記

■もっと地元にサケを!孵化事業奮闘記

山形県・遊佐町(ゆざまち)にある、鳥海山(ちょうかいさん)の湧き水が豊富で、鮭が遡上する滝渕川では、鮭の孵化(ふか)事業が盛んに行われています。漁協組合長の尾形修一郎さんは、この道50年のベテラン。熟練の技で卵を取り出して、精子をかけたら、一気に川の水に浸します。それで満遍なく受精するのです。2ヶ月ほど水槽で静かに休ませれば稚魚が孵化します。稚魚になった後は4ヶ月の間付きっきりで世話をし、5cmほどに育てて川に放流します。「放流するまで一切、休みはなし。地道な役割を果たしてこそ、いい稚魚が生まれるんです」と尾形さん。サケの産地には、尾形さんのような存在が不可欠です。更に、この漁協ではもう一つ、大きな取り組みがあります。キーワードは“メジカのふるさと”。メジカとは一体どんな魚なのでしょうか…?

■オホーツクの幻のサケ

■オホーツクの幻のサケ

秘密を探りにやって来たのはオホーツク海に面した北海道・枝幸町。定置網を引き上げると「メジカ!メジカ!」と漁師の喜びの声が船内に響き渡ります。1000匹に1匹しかいないと言われるメジカ。普通のサケと比べて見ると違いがよくわかります。鼻先から目までの距離が短いので“目近”と呼ばれてきました。脂が格段に乗っていると大評判です。メジカの正体は山形に帰る途中の若いサケ。北の海で豊富なエサを食べて育ち、4年後に山形の川を目指して帰る途中、風や波などの影響でオホーツク海に迷い込み網に入るのです。北海道の人々にとってメジカは特別な存在。今から50年ほど前、メジカはどこから来るのかと標識をつけて放流したところ、山形がふるさとだとわかったのです。

■北海道と山形を結ぶ友情物語

■北海道と山形を結ぶ友情物語

北海道で揚がる山形出身の貴重なサケ・メジカ。それが判った当時、山形に帰って来る魚がブランド化されている、と山形の人は激怒しました。しかし組合長の尾形さんだけは違う思いを持っていました。“いつかメジカを通して北海道と交流していきたい”と考えていたのです。月日が経ち、孵化場の老朽化が進み川に戻るサケが減って来た頃、尾形さんは清水の舞台から飛び降りる気持ちで北海道に協力を依頼します。そして、北海道の最新の技術を使った孵化場の建設に成功したのです。メジカを通して北海道と山形の絆が深まっていきます。そして、尾形さんはメジカの故郷として山形でもその美味しさを発信していきたいと考えています。それには名物になるような一皿を作るのが一番の近道。そう考えた尾形さんが協力を仰いだのは、地元フレンチのシェフ・太田さんです。「こっちで見るサケとは全然違う」と初めて見るメジカに大興奮の太田さん。メジカと世界の珍味を掛け合わせます。一体どんな料理になるのでしょうか?

取材先
制作担当

【ディレクター】鴨下 満(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】土橋 正道(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】太田 伸(テレビ朝日)