第207回スペシャル『スペイン~魅惑のイベリコ豚紀行~』
12月22日放送
■スペインが誇る極上の豚肉!
■スペインが誇る極上の豚肉!
スペインが誇る豚の王様、イベリコ豚!イベリコ豚は2003年に輸入解禁になると、その美味しさが瞬く間に日本中に知れ渡りました。霜降りの赤い肉は、見てビックリ、食べてもビックリ!知らずに食べれば――「えっ、これ牛肉?でも何か違う…おいしい!」
その味は、豚肉の常識を覆したと言われるほど。今回は、スペイン・魅惑のイベリコ豚の旅へご案内します。
■味の秘密・・・
■味の秘密・・・
イベリコ豚に会いに、スペイン南西部・エストレマドゥーラ地方へ。“極端に厳しい”という地名のとおり、ここでは標高が高く農作物が育ちません。そのため、このあたりでは古くから豚に頼って生活してきました。
広大な放牧地で育つ黒豚のイベリコ豚。闊歩するその姿はまるで猪!よく見ると、木の下で何やらボリボリと食べています。“ドングリ”です。実は、これがイベリコ豚の美味しさの秘密!脂肪分の多いドングリを秋から冬にかけて食べるため、香り高い脂肪を蓄えます。さらに、餌を求めてあちこちに歩き回るため、身が引き締まり、良質な霜降りの肉になるのです。
■世界最高級の生ハム
■世界最高級の生ハム
スペインは世界一の生ハム大国。生ハムがなければ、陽気なスペイン人の夕べは始まりません。
中でも最上級なのが“ハモン・イベリコ・デ・ベジョータ”というイベリコ豚の生ハム。値段は普通の生ハムの何と5倍!この生ハムを食べることはスペイン人の憧れ。丸ごと1本をみんなに振舞うのは成功の証とさえ言われます。
豚の後ろ脚を塩漬けし、吊るして乾燥させて作られる生ハム。完成までに2年間かかります。その間、温度・湿度・風通しの采配が生ハム職人の腕の見せ所。吊るす場所を何度も変えていくと、熟成して甘みを含んだ最高級の生ハムができるのです。
■命をいただくマタンサ
■命をいただくマタンサ
高級品のイベリコ豚。しかし、山々に囲まれた小さな村ハブギージョでは、イベリコ豚の生ハムや腸詰を毎日食べます。これらの保存食を作るために、皆、自家用のイベリコ豚を飼っているのです。そして、寒くなると、親戚やご近所が集まり“マタンサ(解体)”が行われます。
この日は左官業のカシミロさんのお宅でのマタンサ。男たちが10人がかりで、それぞれの部位、内臓をあっという間に切り分けます。一見、残酷なようですが、マタンサは生きるための大切な行事。昔からこの村では、こうしてイベリコ豚の命をいただき、毎日の糧としてきたのです。
■幸せをいただくマタンサ
■幸せをいただくマタンサ
解体作業が終わると、女性たちは大忙し。一滴の血も無駄にせず、一年分の腸詰め作りをはじめます。スパイスを加えて、何種類もの腸詰めを工夫して作ります。“モルシージャトンタ”は余ったクズ肉と野菜、そして血を使って作る生ソーセージ。マタンサの時期だけの楽しみです。他にもあばら肉、尻尾、耳などの煮込みや、おいしい肩ロースの炭火焼きなども食べます。作業の合間に、みんなでワイワイとイベリコ豚料理を食べるのがマタンサの醍醐味。
受け継がれてきたマタンサには、イベリコ豚と共に生きる人々の情熱と笑顔がありました。
■広がるイベリコ豚人気!
■広がるイベリコ豚人気!
かつては限られた地域で、マタンサの頃にしか食べられなかったイベリコ豚の肉料理。最近では、マドリッドの高級レストランでも知られるようになりました。さらに、イベリコ豚の脂肪に含まれるオレイン酸には、善玉コレステロールを増やす作用も。つまり、美味しいだけでなく、体にやさしい脂なのです。それがイベリコ豚の美味しさの秘密でした。
取材先
制作担当
【ディレクター】河野 あや子(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】土橋 正道 那須 恭子(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】高階 秀之(テレビ朝日)