第196回『芝えび』
10月6日放送予定
■東京湾で多く獲れていた芝えび

■東京湾で多く獲れていた芝えび
芝浦で多く獲れたことからその名がついた芝えびは、江戸庶民に愛されてきた食材です。さっぱりとした風味に、身も柔らかい芝えびは、『本朝食鑑』に「至小(ししょう)なものも、美味である」と紹介されています。昭和のはじめ頃まで、多く獲れていた芝えびは、江戸前の料理には欠かせない食材となりました。今回は、江戸っ子の好物、蕎麦、天麩羅(てんぷら)、寿司に焦点をあてて、芝えびの魅力と芝えびに情熱を注ぐ職人を紹介していきます。
■江戸っこの好物にも使われていた芝えび

■江戸っこの好物にも使われていた芝えび
江戸料理に多く使われていた芝えびは、江戸時代の風俗作家の書いた「守貞謾稿(もりさだまんこう)」に「芝海老の油あげ三四を加う」天ぷらそば、「江戸の天麩羅はアナゴ芝えび・・・しかる後に油揚げにしたる」とあり、芝えびがよく使われていたことが伺えます。また「屋體見世(やたいみせ)は鮓(すし)天麩羅を専(もっぱ)らとす」とあり、蕎麦をはじめ、寿司、天麩羅は屋台で売られた大衆的な食べ物として、芝えびと共に親しまれてきました。今回、老舗の「かんだやぶそば」「室町砂場」で天ぷらそば、「てんぷら みかわ」では芝えびのてんぷらを紹介、職人の技が光ります。江戸前のお寿司の玉子焼きやおぼろには昔から芝えびが使われています。東京・銀座にある「寿司幸本店」では、今も昔と変わらない材料と作り方の玉子焼きとおぼろがありました。
■愛知県・知多半島で見つけた芝えびのせんべい

■愛知県・知多半島で見つけた芝えびのせんべい
愛知県はえびせんべいの生産が日本一で、全国のえびせんべい生産の約90%を占めています。古くから色んな種類のえびが獲れる愛知県・伊勢湾、三河湾では昔から漁師たちが、えびを保存するためにすり身にし、でんぷんと小麦粉を混ぜ焼いたのが「えびせんべい」の始まり。その知多半島で見つけた「芝えびのせんべい」は、職人が芝えびの味に惚れ込んだ一品、近くの漁港で獲れた新鮮な芝えびの香りが活きています。
■明治の文豪が愛した会席料理の老舗

■明治の文豪が愛した会席料理の老舗
東京の神楽坂に、明治の文豪、泉鏡花が愛した会席料理の老舗があります。彼の書いた「婦系図」に頻繁に登場する魚屋「め組の惣助」は、老舗「うを徳」の初代 萩原 徳次郎氏がモデル。その泉鏡花が足繁く通った「うを徳」に、代々伝わる「芝えびの揚げしんじょ」があります。若い芝えびの「こさく」が獲れだすと、「芝えびの揚げしんじょ」の季節になったのだと五代目主人。秋から冬にかけてとれた芝えびで味わえる「芝えびの揚げしんじょ」は絶品です。
取材先
制作担当
【ディレクター】 近藤 泰教(ViViA)
【プロデューサー】 加納 満(ViViA)
【プロデューサー】 高階 秀之(テレビ朝日)





