食彩の王国 食彩の王国

毎週⼟曜⽇ あさ9時30分から

毎週⼟曜⽇ あさ9時30分から

過去の放送

第153回『甘鯛』

11月18日放送予定

★甘鯛ってどんな魚?

★甘鯛ってどんな魚?

角ばった頭に、まぁるい目。ごらんの通りのひょうきん顔の甘鯛。でも、その鱗を見てみてください。赤いグラデーションに鮮やかな黄色。隠れたお腹は美人の証の白色です。そして甘鯛特有の表面のぬめりが、キラキラと甘鯛を一段と輝かせています。
美しい体の中の身はとても繊細。水分を多く含み、身崩れしやすく、扱いに困りました。
それでも、せっかく獲れた貴重な魚。どうにか美味しく食べてもらおうと昔の人は知恵をしぼりました。

★憧れの魚に大変身!

★憧れの魚に大変身!

京都では、「グジ」と呼ばれるこの魚。一体どうして甘鯛がグジに?!それは、頭の形から「屈頭魚:くずな」と呼ばれていたものが転じて、グジとなった、と一般的に伝えられています。
江戸時代、海のない京都へ、福井県の若狭からも魚が運ばれていました。甘鯛もその中のひとつ。獲れたての新鮮な甘鯛に、ある工夫をして、72キロの若狭街道を通って運ばれました。
そして、京都に着いたら大発見!運ぶ間に、甘鯛にある変化が起き、旨味が増していたのです。以来、京都では「若狭グジ」と呼ばれ、現在でも高級料亭などでは欠かせない食材とされています。甘鯛を一夜にして、人々の憧れの高級魚にしたものとは?

★食通をも虜にする魅惑の魚

★食通をも虜にする魅惑の魚

静岡付近では、甘鯛の干物を「興津鯛」と呼んでいます。名づけ親は、かの有名な徳川家康公。
将軍職を退いた後、駿府城に住んでいた時のこと。興津の局という奥女中が、家康に生干しの甘鯛を献上しました。それを食した家康はいたくお気に召し、「この鯛は、興津の局が持参したゆえ興津鯛とよぶがよい」と、上機嫌で申されたそう。
それからは、甘鯛を生乾しにしたものを興津鯛と呼び、こちらも高級品として地元を中心に珍重されています。多くの食通を虜にしてきた甘鯛。その魅力をお届けいたします。

今週のおすすめレシピ

今週のおすすめレシピ

【甘鯛のから揚げ】

食通としても知られている、作家・澁澤龍彦の大好物だった[甘鯛のから揚げ]の作り方をご紹介します。奥様の龍子さんに教えていただきました。サックリした衣に包まれ、ふんわりとした甘鯛の身を堪能できる料理です。

<材料>
甘鯛の切り身・サラダ油・塩・コショウ・片栗粉・すだち

<作り方>
(1)甘鯛の切り身の水気を軽くとる。
(2)塩・コショウをする。
(3)片栗粉をつける。
(4)熱した油できつね色になるまで揚げる。
(5)お好みで、すだちを絞ってお召し上がりください。

取材先
制作担当

【ディレクター】椎葉 百合子(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】土橋 正道 那須 恭子(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】高階 秀之(テレビ朝日)