食彩の王国 食彩の王国

毎週⼟曜⽇ あさ9時30分から

毎週⼟曜⽇ あさ9時30分から

過去の放送

第113回『甘えび』

2月4日放送予定

★深海の赤い宝石 甘えび

★深海の赤い宝石 甘えび

鮮やかな赤い体にエメラルドのような卵、そして殻を取れば現われる輝かくばかりの透き通った身。その姿から海の宝石と呼ばれる甘えび、今日はトロリと甘い「甘えび」の魅力に迫ります。甘えびが生息しているのは日本海沿岸の水深500m前後の深海。冬になると産卵の為に浅場に移動してくる甘えびはこの時期に旬を迎えます。その名が示すように、口に入れればトロッと広がる濃厚な甘味に人々は魅了され、正式名「ホッコクアカエビ」というこのえびに、いつしか「甘えび」という別名がつけられた程です。

★古都・金沢の甘えび

★古都・金沢の甘えび

甘えびの産地・金沢ではこの時期、甘えびは料理に欠かせません。身は麹漬けや石焼・鍋物にして、頭は塩焼きにしたり骨酒にしたり、卵は塩漬けにしたり…。旬の甘えびを味わい尽くそうと様々に料理にされます。でも甘えびといえばやっぱり刺身。旬の甘えびは身に旨味が凝縮されている為、金沢では刺身を醤油を付けずにそのまま食べるのだとか。しかし金沢でも、かつては甘えびを生で食べる風習はありませんでした。

★漁師達の努力

★漁師達の努力

甘えびは傷みが早く、昔は港に水揚げされ町場に着くころには黒く変色してしまう程でした。そこでまるごと出汁と生姜で煮た「具足煮」にされ、金沢では子供のおやつ等にして食べられていたのです。そんな甘えびを生で食べられるようなったのは漁師達の努力の賜物でした。漁師達は生の甘えびの美味しさを何とか皆に届けようと、知恵と工夫を重ねてきたのです。

★甘えび東京進出

★甘えび東京進出

甘えびが東京に入ってきたのは戦後まもない頃。しかし水揚げされてから数日経ち、とても生では食べられる食材ではありませんでした。東京では、甘えびは町場の食堂や惣菜屋で、安く楽しめる天ぷらとして食べられていたのです。しかし高度経済成長期、交通網の発達により、鮮度の良い甘えびがようやく東京にも入るようになります。折しもその頃、急速に進んだ東京湾の埋め立てにより、江戸前寿司が危機に陥っていました。甘えびはその隙間を埋めるように台頭し、刺身・寿司ネタとして一躍脚光を浴びるようになるのです。

★北欧の甘えびパーティー

★北欧の甘えびパーティー

甘えびの虜になった日本人。現在ではグリーンランドやノルウェーなどから大量の甘えびを輸入しています。春に獲れはじめる甘えびは、北欧では長い冬の終わりを告げる恵みの味。その豊漁を祝い、甘えびパーティーが開かれ、新鮮な甘えびをたっぷり使った料理が振舞われます。一体どんな風にして食べるのでしょうか?
人々が美味しいものを追求し、深い海から見つけ出した甘えび。現在、日本では更に美味しく食べる為の工夫が重ねられ、料理の幅もひろがっています。

取材先
制作担当

【ディレクター】椎葉百合子(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】土橋正道 那須恭子(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】高階秀之(テレビ朝日)