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毎週⼟曜⽇ あさ9時30分から

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過去の放送

第112回『鴨肉』

1月28日放送予定

★日本人と「鴨」

★日本人と「鴨」

あふれ出る野生のうま味、特にネギとの相性は抜群「カモがネギしょってやってきた」
なんて言葉もあるくらい、鴨肉は昔からご馳走や獲物を意味する身近な食材でした。
記録に現れる最初の鴨料理は奈良時代(715年頃)、「播磨国風土記」に天皇が鴨猟で射落とした鴨を羹(あつもの・熱い汁)にした「鴨汁」です。戦国時代には、田畑を耕す鋤(すき)で焼いて食べるという元祖「すき焼き」が登場。江戸中期には高級な「鴨鍋」に対し、合鴨を使った「鴨南蛮」が工夫され庶民の冬の定番となったのです。

★トゥールダルジャンの「血のソース」

★トゥールダルジャンの「血のソース」

鴨料理に長い歴史と深い造詣を誇るフレンチの名店「トゥールダルジャン」。その名を冠した名物料理「幼鴨(ようがも)のロースト“トゥールダルジャン”」は、丸焼きにした特別な鴨肉をカナディエ(鴨料理人)が切り分け、骨から搾り取った「血のソース」で仕上げます。世界中のグルメたちを魅了し続けるこの料理の考案者、19世紀パリ本店の給仕長フレデリック・ドゥレールは、鴨一羽一羽に番号をつけるというアイデアを思いつき実行に移しました。そして2003年、その数は100万羽を突破したのです。

★魯山人を魅了した「鴨鍋」

★魯山人を魅了した「鴨鍋」

1954年、そのパリ本店を訪れ物議をかもした一人の日本人がいました。陶芸家にして美食家、北大路魯山人です。彼は料理を一目見るなり、ポケットから粉わさびと醤油を取り出し、鴨をそのまま持ってくるように命じたのです。そんな乱暴な一幕を演じさせた自信のもとは滋賀県長浜市にありました。鴨料理の老舗「鳥新」、魯山人をして日本の鴨料理に軍配を上げさせたのが、この店の「たたき」の技法と、それがつくる絶妙の味にありました。

★「合鴨農法」

★「合鴨農法」

千葉県いすみ市、人里離れたダム湖の奥に合鴨に夢を託した人物がいます。有機栽培による米作りをしようと、会社勤めの傍ら農業をはじめた西田和行さん。その心強い相棒が「合鴨」です。田植えを終えた水田に合鴨を放し、草取りをさせます。米作りは順調、思わぬ副産物もありました。ごはんとおかずが同時にできるのです。水田で元気いっぱいに育った合鴨は、驚くほど肉や脂の風味に優れていたのです。

★「坂網猟」と「加賀料理」

★「坂網猟」と「加賀料理」

石川県加賀市にある「片野鴨池」は日本で一番小さなラムサール条約登録地です。
水鳥と湿原を保護するための国際条約に守られたこの池で、唯一許されている鴨猟があります。300年の伝統を持つ「坂網猟」。猟師たちは鴨を保護しながら、その一部を頂くという掟をかたく守ってきました。捕れた鴨は大切に料理され、加賀の伝統料理として受け継がれています。

取材先
制作担当

【ディレクター】林 英幸(ViViA)
【プロデューサー】加納 満(ViViA)
【プロデューサー】高階秀之(テレビ朝日)