第95回 『紫蘇』
9月10日放送予定
★古代から利用されてきた日本のハーブ

★古代から利用されてきた日本のハーブ
さわやかな香りの紫蘇は、料理にアクセントを加えたり、油っぽい食材をさっぱりさせたりする日本料理に欠かせない食材。
日本では、なんと縄文時代の頃から食べられてきたといわれています。
今回は古代から親しまれてきた紫蘇の不思議な力を紐解きます。
★漁師達との切っても切れない関係

★漁師達との切っても切れない関係
千葉県の南房総の漁村では、どの家にも青紫蘇が植えてあります。
この地域に伝わる漁師料理に青紫蘇がなくてはならない食材なのです。
たくさん捕れた魚をおいしく食べるために編み出された漁師料理、「なめろう」には青紫蘇をたっぷりと使います。
青紫蘇は風味を良くするだけでなく、ある重要な役割をしているのです。
★紫蘇の名前の由来は?

★紫蘇の名前の由来は?
紫蘇の原産地は中国南部だといわれています。
実は紫蘇という名前がつけられたのも中国なのです。
中国で紫蘇は、野菜としてだけではなく、薬としても古くから利用されてきました。
紫蘇には鎮静、解熱、解毒、食欲増進などの作用があることが知られており、漢方薬には青紫蘇に比べ薬効が強い赤紫蘇の葉と種を乾燥させて使います。
そして料理にも赤紫蘇から抽出したエキスを加え、夏バテ防止のスープに。
紫蘇という名前はその蘇りのパワーにまつわる伝説から生まれたといいます。
★建礼門院の悲話から生まれた漬物

★建礼門院の悲話から生まれた漬物
日本では、赤紫蘇の強い薬効を梅干しなどの漬物に利用してきました。
平安時代、京都・大原の尼寺、寂光院では赤紫蘇を使ったある漬物が生まれました。
壇ノ浦の合戦で平家が滅亡した後、安徳天皇の母、建礼門院徳子が余生をすごしていた時の事。大原の村人は都から来た高貴な方を慰めようと、赤紫蘇とナスの漬物を差し上げました。すると建礼門院は漬物を見て「紫葉漬けか」と言われたといいます。
紫の葉の紫蘇で漬けた事から「紫葉漬」と名付けられたのです。美しい紫色のこの漬物で建礼門院は大層慰められたそうです。暑いさなかに雑菌を押さえて漬け物を作れるのは、紫蘇の殺菌力のお陰。その美しい色には古の知恵が秘められているのです。
今週のおすすめレシピ

今週のおすすめレシピ
【なめろう】
千葉県南房総に古くから伝わる漁師料理。
とてもおいしいので皿まで「なめろ」といわれたのが名前の由来。
アジの風味をしその香りがひき立てて、さっぱりと頂けます。
手早くできて、ご飯のお供やお酒のおつまみにぴったりです。
材料(4人分)
アジ ― 4~5尾 玉ねぎ ― 1/4個
青じそ ― 2~3枚 (又は長ねぎ)
生姜 ― 1片 味噌 ― 小さじ2
1.アジは3枚におろして皮をむき、青じそを加えて包丁でたたく。
2.生姜、玉ねぎをみじん切りにする。
3.1と2を合わせて、さらに味噌を加えて包丁でたたく。(味見をしながら味噌の量を調整してください)
材料がよく混ざり、粘りがでてきたらできあがり。
アジ以外でも、イワシ、サンマ、鯖、イカなどのその時期の旬の魚でも作れます。
また、なめろうを丸めて青じそで包み、フライパンで焼けば、香ばしい魚のハンバーグとしても味わえます。
取材先
制作担当
【ディレクター】河野あや子(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】土橋正道 那須恭子(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】高階秀之(テレビ朝日)





