食彩の王国 食彩の王国

毎週⼟曜⽇ あさ9時30分から

毎週⼟曜⽇ あさ9時30分から

過去の放送

第91回 『鱧』

8月6日放送予定

★鱧 ~都に咲いた白い花~

★鱧 ~都に咲いた白い花~

京の街に夏の訪れを告げる祇園祭。そしてお祭りに欠かせない食材、それが鱧です。さっと湯にくぐらせた鱧の身を氷水でしめ、梅肉醤油でサッパリといただく「鱧の落とし」は見た目も涼やかな、鱧料理の代表です。他にも寿司に焼物にお椀にしたりと、街のあちこちで鱧が振舞われ、夏の京都は鱧一色となります。
鱧は生命力が驚くほど強い魚。輸送手段のない時代に、大阪で水揚げされた鱧が一昼夜かけて京都まで運ばれてきてもまだ生きているほどでした。その為、新鮮な海の幸が手に入りにくい京都で鱧は大変貴重がられ、料理人達は惜しみない知恵と工夫を鱧に注ぎ込んできたのです。その京都の鱧料理の伝統を支えるのが、「骨切り」という技術です。

★受け継がれる伝統 ~鱧の骨切り~

★受け継がれる伝統 ~鱧の骨切り~

鱧は身にびっしりと小骨があり、細かく骨ごと切らないとそのままでは食べられません。そこで生まれたのが「骨切り」という技術。鱧の身を皮一枚残し、一寸(約3.3cm)に24回、つまり1mm間隔に包丁を入れる事で、食べた時に骨が口にあたらないようにするのです。出来るようになるまで約10年はかかる、と言われるほどの技術を要する「骨切り」。創業明治元年の京料理の老舗で修行中の見習職人に密着し、京都の伝統がどのように受け継がれてきたのかに迫りました。

★沼島の鱧

★沼島の鱧

淡路島の最南端に位置する沼島。「沼島の鱧」は京都では言わずと知れた鱧のブランド。古来京都へ運ばれる鱧はここで獲れたものが最良とされてきました。そこには沼島の 漁師達による知恵が隠されていたのです。それが鱧のはえなわ延縄漁法。鱧を傷つけずに一本一本大切に、より新鮮なまま運べるようにと考え出されたのです。
鱧の頭・骨・内臓・卵を淡路特産の玉葱と一緒に鍋にしていただく沼島の郷土料理「はもすき」は、余す所なく鱧を食べ尽くす栄養たっぷりの滋養食です。これは元々漁師料理で、漁師達は「はもすき」を食べて夜通し続く漁の為に栄養補給してきたのです。

★食い倒れの街・大阪

★食い倒れの街・大阪

古くから海運業や商業で栄え、流通の盛んだった大阪では鱧はたくさん水揚げされました。小骨の多い鱧を、大阪では「骨切り」をせずに利用する知恵があります。それが皮一枚を残し、鱧の身を骨ごとすり身にして使う「鱧板」と呼ばれる蒲鉾です。上品で味に奥行きのある鱧は、江戸時代から大阪蒲鉾には欠かせない魚だったのです。
蒲鉾作りに余った皮も無駄にはしません。タレで焼いた鱧の皮をキュウリとあわせた酢の物、「鱧皮のざくざく」は大阪の庶民の料理。また大阪の夏祭り、天神祭には鱧の皮を使った押し寿司が作られたりと、質素倹約の精神はこんな所でも息づいていました。

今週のおすすめレシピ

今週のおすすめレシピ

【鱧皮のざくざく】
鱧の皮を使った手軽で簡単な家庭料理。鱧皮とキュウリを合わせただけのシンプルな酢の物で、皮の香ばしさとキュウリの歯応えを楽しみます。皮にあるゼラチン質と脂質を酢の物でサッパリといただき、夏バテ防止にはもってこい。作り方はいたって簡単。

1. 鱧の皮をざくざくと細かく刻む。(鱧皮は骨が多いので骨まで細かく切る事が大切)
2. 同じくキュウリを刻み、塩もみして水気をとる
3. 三杯酢にキュウリを浸し、味をしみ込ませる
4. 最後に刻んだ鱧の皮を入れてよく混ぜるだけ

鱧の皮が手に入らなければ、鰻や穴子の蒲焼を使っても良い。

(三杯酢の作り方)
酢・醤油・みりん  1:1:1の割合
砂糖・塩      少々

取材先
制作担当

【ディレクター】椎葉百合子(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】土橋正道 吉岡陽代(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】高階秀之(テレビ朝日)