第89回 『天草』
7月9日放送予定
★暑い季節にトコロテン

★暑い季節にトコロテン
暑い季節に食べたくなるもの。プルプルとした食感、見た目にも涼しげで、そして海の香りが心地よい。そう、トコロテンです。全国各地で食べられているトコロテンですが、その食べ方は土地によって様々。関東では酢醤油で、関西では黒蜜で、四国では鰹出汁をぶっかけて…。全く違います。「あなたはトコロテンをどうやって食べますか?」と訪ねると、きっと話が盛りあがりますよ。そのトコロテンの原料となるのが、今回のテーマ「テングサ」です。
★テングサ漁

★テングサ漁
テングサは浜辺から水深10メートルくらいまでの一帯で採れる海藻です。夏、静岡県 伊豆市 土肥ではテングサ漁が盛んに行われています。海女さん達が何度も素潜りし、海底からテングサを採ってきては、ウキにつけた「すかり」という網に入れていくのです。50歳代ならまだまだ若手、海女さん達はとても元気です。
★テングサ、大変身!

★テングサ、大変身!
海女さんの仕事は潜るだけではありません。採ってきたテングサを真水で洗い、天日に晒します。それを何度も繰り返すと、やがて赤褐色だったテングサがアメ色にかわります。これが完成の目安。磯臭さが程よく抜け、あの透明感のある美味しいトコロテンが作れる、テングサになるのです。そして、ここからがトコロテン作りの本番、そのテングサを煮たてます。ゼリー状に固まる物質が含まれた煮汁を絞り出し、器に入れて置いておくと、常温でも固まります。お馴染の「天突き」で突けばできあがり。海藻からトコロテンへ、華麗に大変身です。
★曲突き

★曲突き
アイスクリームも冷蔵庫もない江戸時代の夏。水桶で冷やしたトコロテンは江戸っ子の大好物でした。「トコロテン屋~」という売り声と共に、行商がトコロテンを売りにくるという光景が、夏の風物詩となっていたそうです。その中でもお客さんを集めたのが、「トコロテンの曲突き」。ひじに器をのせて、空に向かって「天突き」をかまえます。トコロテンの曲突きでござい!お客さん、どうぞ見ていって下さい!
★寒天

★寒天
「寒天」はテングサが採れる地域では作らず、山深い土地に運ばれて作られます。なぜ海から離れた山へ?実は寒天は色々な気候条件がそろった地域でしか作ることができません。ヒント、寒天の「寒」の字に注目!さらに手間をかけることで料理に使いやすくなり、今ではダイエットに効果的と大人気の寒天。江戸時代、偶然が産んだ日本人の大発明。先人の知恵に感謝です。
★テングサから様々な料理へ

★テングサから様々な料理へ
石川県に伝わる郷土料理「えびす」そして「すいぜん」。長野県に伝わる「味噌漬け」。テングサはその姿を変え、各地で様々に食べられています。見た目にも身体にも美味しい料理が、工夫次第で無限大に楽しめるのです。その一部をご紹介、是非一度お試し下さい。
取材先
制作担当
【ディレクター】河野あや子(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】土橋正道 吉岡陽代(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】高梨聞吉 高階秀之(テレビ朝日)





