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毎週⼟曜⽇ あさ9時30分から

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過去の放送

第67回『小松菜』

2月5日放送

★冬を彩る小松菜

★冬を彩る小松菜

小松菜は冬菜とも呼ばれ11月~3月に旬を迎えます。寒い時期にもみずみずしい色で料理を彩る小松菜は、一足早く春の訪れを感じさせてくれます。

★東京の地方野菜小松菜

★東京の地方野菜小松菜

葉の傷みやすい小松菜は長時間の輸送には適しません。この日、築地市場で扱われる小松菜も東京を中心に埼玉産、茨城産など都市近郊で生産されたものばかりですが、意外にも東京で作られた小松菜は他を圧倒するほどの量。

★小松菜収穫

★小松菜収穫

もともと小松菜は東京の地方野菜で、江戸川区小松川を中心とした地域では昔から小松菜栽培が盛んです。かつて農村だったこの地域では、東京の人が食べる小松菜を代々作りつづけてきました。車のない時代には、牛車で3時間かけて、小松菜を都心に向けて出荷していたそうです。

★様々なツケ菜

★様々なツケ菜

小松菜は本来、漬け物用の菜っ葉「ツケ菜」の一つです。ツケ菜には、信州の野沢菜・九州の高菜・広島の広島菜など全国各地に様々な種類があり、その土地土地で特色あるものが育っていきました。小松菜はというと、江戸の街の誕生と江戸っ子との密接な関わりの中から、他のツケ菜にはない独自の発達を遂げます。柔らかくて新鮮な風味をそのまま楽しめるものになったのです。

★江戸とともに歩んだ小松菜

★江戸とともに歩んだ小松菜

小松菜という名前にはこんな由来があります。「小松川に鷹狩に訪れた8代将軍吉宗。お昼に出された青菜の澄まし汁を大変気に入り、当時は単に菜っ葉と呼ばれていたその青菜を、小松川という地名にちなんで“小松菜”と命名した」、というのです。吉宗公から名を授かった小松菜は、人口百万人の巨大都市 江戸で一躍脚光を浴びます。そして小松菜は冬に育つ貴重な野菜として重宝がられ、江戸っ子には無くてはならない冬の風物詩になっていったのです。東京の雑煮に必ず小松菜が添えられるのも、この頃からだと言われています。明治になり、江戸が東京になっても小松菜人気はとどまりませんでした。

★そして東京の街とともに

★そして東京の街とともに

しかし戦後の高度成長期、江戸っ子野菜・小松菜は存亡の危機を迎えます。高速道路の整備などにより、各地の野菜が新鮮なまま東京に入ってくるようになったのです。さらにレタスやトマト等の西洋野菜の普及が追い討ちをかけました。危機感を抱いた小松川の人々は立ち上がり、発祥の地のプライドをかけ品種改良を推し進めました。何処でも簡単に育ち日持ちも良くなった新しい小松菜は、今では全国区の野菜として、和食以外に中華料理やフランス料理などにも使われるようになりました。

取材先
制作担当

【ディレクター】河野あや子(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】土橋正道  吉岡陽代(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】高梨聞吉、高階秀之(テレビ朝日)