第63回『アンコウ』
1月8日放送予定
★冬に旬を迎える「アンコウ」

★冬に旬を迎える「アンコウ」
西のフグ、東のアンコウ」といわれるほど、関東では欠かすことのできない冬の食材アンコウ。3月頃に産卵を迎えるアンコウは、その産卵を控えて体に栄養を蓄える冬が一番おいしくなります。海底に暮らすアンコウは、見た目はちょっとグロテスクですが、骨以外は殆ど捨てる所がないという無駄のない食材です。
★ アンコウの「吊るし切り」

★ アンコウの「吊るし切り」
アンコウの食べ方が初めて記載されたのは、江戸初期の料理本「料理物語」で、料理の種類と、その料理法が書かれています。アンコウは、ブヨブヨ、ヌルヌルしているため、「鮟鱇は まな板へ乗る 魚ではなし」と昔から川柳に詠まれているように、「吊るし切り」という方法で捌かれます。この吊るし切りは、江戸中期の百科辞典「和漢三才図会」にその方法が詳しく書かれてあり、現在に至るまでその方法は殆ど変わっていません。
★アンコウの「七つ道具」

★アンコウの「七つ道具」
アンコウは、その食べられる部位を分けると、全部で七つあることから、「アンコウの七つ道具」と昔から呼ばれています。この七つ道具とは、肝、エラ、ヒレ、皮、身、胃、卵巣のこと。七つ道具が全て入った鮟鱇鍋は、それぞれの異なる食感を同時に楽しむことができます。
★漁師料理「どぶ汁」

★漁師料理「どぶ汁」
鮟鱇鍋は、もともとは素朴な漁師料理の“どぶ汁”が始まりだったといいます。船の上での貴重な水を使わずに、アンコウと野菜から出る水分だけで作るどぶ汁。どぶ汁の“どぶ”とは「どぶろく」のことを指し、酒粕をドロドロに溶いた状態を表しています。水を使わずに肝を溶いた状態を“どぶ”と表現したようです。
★各国のアンコウ料理

★各国のアンコウ料理
アンコウは、ヨーロッパでも一般的な食材として食べられています。特にスペインでは肉より魚がご馳走とされることから、様々な料理に使われます。また、スペイン料理では使われないアンコウの肝は、缶詰にして日本へと輸出しています。お隣の韓国でも、アンコウは定番食材です。鍋や蒸し煮に調理して、日本と同じように七つ道具の全てを食べています。
★アンコウの豊富な栄養

★アンコウの豊富な栄養
アンコウの各部は、美肌効果のあるコラーゲンを含む皮や、カルシウムが豊富なエラやヒレ等、栄養満点です。とりわけアンコウの肝は、他の食材とは比べ物にならないほどの栄養の塊。しかも、血中コレストロールを低下させる多価不飽和脂肪酸が含まれているため、脂肪分を気にすることなく安心して食べることができます。私たち日本人は、アンコウの七つ道具全てを食べることで、冬に足りない栄養を補い、厳しい寒さを乗り越えてきたんですね。
取材先
制作担当
【プロデューサー】土橋正道 吉岡陽代(テレビマンユニオン)
【ディレクター】阿部賢実(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】高梨聞吉 高階秀之(テレビ朝日)





