シンクロ水着ができるまで (情報提供:ミズノ株式会社)

〜アテネオリンピックを振り返る〜

世界にアピールする“日本の表現”それが唯一のデザインコンセプトだった。

シンクロチームの水着デザインを担当した ミズノ SPEEDO企画課 三宅デザイナーは、日本水泳連盟シンクロオリンピックチーム 井村 雅代監督より、このオリンピックでのデザインテーマを告げられた。三宅はまず日本をイメージする「歌舞伎」「文楽」「浄瑠璃」「桜」「武士道」など、世界の観客が見ても理解できる日本のモチーフを研究し、実際に歌舞伎の衣装を見せてもらうところから始めた。

デザインと平行し、フィッティングも同時進行させた。納品までの10ヶ月間にのべ10回におよぶフィッティングが繰り返された。
このフィッティングから導き出されたことは・・・

  筋肉の発達した選手たちの体型をより美しく見せるために、ピシッと締め付ける水着に
  前身・後身の首繰りは動きを制限させず、かつ 呼吸を楽にする為、スクエア型に
  1着の重さはスパンコールをつけて260g以内に

デザイン決定 (2004年1月末)
■はなやかさと強さを表現した
「サクラ」
(デュエット・テクニカル)
■鶴の羽をつけて華麗に踊る
「ジャパニーズドール」
(デュエット・フリー)
■はなやかさと強さを表現した「サクラ」(デュエット・テクニカル)
日本の代表的イメージ「桜」は、はかなく、美しいイメージ。その桜に強さも表現して欲しいとの希望から、書道家の先生に書を依頼。可憐なサクラの花びらとパワー溢れる「櫻」の文字表現が生まれた。 デュエット(フリー)の演技テーマ当初の歌舞伎から人形を操る文楽や浄瑠璃のイメージへの変化していきました。ただ文楽の演目・衣装は歌舞伎とほぼ同じ。コスチュームを有名な演目「三番叟」の衣装、鶴の羽に求めた。

■力強さとパワフル感を表現した
「阿波踊り」
(チーム・テクニカル)

■侍の心をモチーフにした
「サムライ」
(チーム・フリー)
■力強さとパワフル感を表現した「阿波踊り」(チーム・テクニカル) ■侍の心をモチーフにした「サムライ」(チーム・フリー)
日本文化の「はれ」を象徴する「祭」。ラテン文化も入っているギリシャで戦いをイメージし、日本チームの明るさ、力強さを表現した。 サムライの心、武士道を静かさと激しさで表現するチーム(フリー)の演技。 コスチュームは筆の流れるようなタッチをシンプルな色合いで表現。

フィッティング、デザイン作成を平行して行い、最後に総合して水着を完成させた時に注意したポイントは・・・

首の周囲には表情をしっかり見せるため、大きな柄はもってこない。
  水着の上半身、下半身の切り替えをはっきりさせる。
 → 水面から身体が上がった時、視覚的に高さが出るため。
  後身、特にお尻の部分の切替はシャープにする。
 → リフトなど水上に上がった時に、視覚的に高さが出るため。
  細かい表現(デザイン)はNG → 遠目で見てもわからないため。
  演舞曲のイメージをデザインに生かす。
  陸上で映えるカラーとデザインも大切に。 → 事前に本会場の床や壁のカラーを調査
水着が審査員に与える印象は、限りなく大きい。演技にプラスになるデザインを目指す!


2004年7月末にミズノから納品した水着は、アテネ五輪へ出発する8月12日までに、選手それぞれのお母様方の手によって、スパンコールがつけられ完成した。8月24日からの本番での選手たちの活躍・美しさは皆さんの記憶にも残っていることでしょう。

今回のワールドカップでは、
  種目が 「フリーコンビネーション」 「ソロ (テクニカル・フリー)」 「デュエット (テクニカル・フリー)」 「チーム (テクニカル・フリー)」 の計7型をミズノが作成し、サプライしています。同じような長い期間と多くの人たちの手を経て、最高の演技をサポートする水着。
どんなデザインで、選手たちが登場するか?楽しみにしてください!

MIZUNO