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#56 もう一人の横綱の意地
大相撲秋場所が終わった。久しぶりの貴乃花フィーバー! メディアは連日貴乃花を追いかけた(Jチャンでも裏番組にもかかわらず結果をお伝えした)。結果はご存知のとおり。

しかし、私は秋場所の真の主役は優勝した武蔵丸だと思う。

結びの一番で貴乃花を破ったがためにすっかりヒール役になってしまったが、彼なくしては勝負の厳しさ、相撲の面白さは感じることはなかっただろう。

貴乃花が休場していた間、ただ一人横綱の地位を守りつづけた。優勝を逃した場所も必死に横綱の意地を見せていた。本場所を前に体も万全ではなかったのは武蔵丸も同じだった。

横綱同士で優勝を決めるなんてシーンを久しぶりに見たな。

「12回の優勝で一番うれしい」と語った。そうだよな。彼は貴乃花を1年間待っていて、そしてその貴乃花を破って優勝したんだもん。貴乃花より年上でよくがんばったなぁ。 昔は北の湖のような「憎らしいほど強い」力士の印象だったが、秋場所が終わって、見方が変わった。武蔵丸の相撲精神は、もはや日本人力士を超えている。