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#19 巨星落つ
 指揮者の朝比奈隆さんが年末に亡くなりました。93歳という世界最高齢の指揮者でした。

 僕らクラッシックファンの間では「西のヴァント、東の朝比奈」と言われるほど世界中のファンが大切に見守っていた指揮者でした。日本で一番数多く「第9」を振ったことでも知られている朝比奈さんは当日も第9を指揮することになっていました。京大を出て阪急電鉄に入社しながら2年で辞めて指揮者の道に入ったという稀な経歴を持っている朝比奈さんには多くのファンが一日でも長く舞台に立ってほしいと願いました。その証拠として、今年2002年も9月までスケジュールが入っていました。
2月に大阪で音楽葬が営まれます。

 その一方で元日、小澤征爾さんが日本人で初めて、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートの指揮をしました。かつてカラヤンやクライバーといった名指揮者でしか振ることのできない、年に一度の栄誉あるコンサート。ここにアジア人、しかも日本人が指揮するなんて凄いことだなと思いました。小澤さんには僕が結婚したときに「おめでとう」のサインをしてくれましたが、その気さくさや人間の温かさがウィーンの聴衆の心を掴んでいるのでしょう。

 年末年始に大きなニュースが飛び交ったクラッシック界は今年はどんな新星、巨匠が登場するのでしょうか?たまには僕も、眠っているバイオリンを出してみようかな?