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#07 忘れもしない・・・
 私が初めてイチロー選手と会ったのは、彼がまだ「鈴木」のユニフォームを着ていた94年のキャンプでした。取材で行った私はそこでナント仰木監督とキャッチボールをすることに!緊張でガチガチになっていた私に悲劇が訪れました。手元がくるって私の投げたボールがランニング中の選手の列に飛んでいったのです!しかも、一人の選手の顔めがけて!!「アッ!あぶな~いっ!!」と叫ぶ私の声が届くより早く、その選手は抜群の反射神経で「うわっ!」と言ってボールをよけたのでした。それが「彼」でした。

to be continued.


◆小宮悦子

 金曜日の特集で、「捨てたい物のお値段」というのを何度か放送しています。家電製品や洋服はもちろん、使いかけの化粧品まで買い取ってくれる業者がいるのには驚きです。昔は「カバンひとつで暮らしたい」と思うほど物欲に無縁だった私も、何十年か生きている内に、ずいぶんいろんな物をためこんでしまいました。衣替えの時期など、たんすや棚を整理していると、何年か前には活躍していたのに、いつの間にか自分になじまなくなってしまった洋服や小物を発見して、少し淋しい気持ちになったりします。人間の好みって微妙に変化してゆくものなんですね。  私は引っ越しを繰り返した経験からか、物を捨てるのはわりに得意な方なんですが、どうしても捨てられない物があるんです。それはTシャツです。変でしょ?着古したくたくた感が好きで、ずーっと何年も着ていると、妙に愛着がわいてしまって捨てるタイミングを失ってしまうんですね。雑きんにするのも何だかかわいそうな気がするし・・・。  というわけで、我が家のクロゼットの片すみには、くたくたになってのびきったTシャツが何枚も、そこが終のすみかであるかのように、ひっそりと眠り続けているのです。