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開戦から20日以上が経過したイラク戦争。バグダット陥落、フセイン政権崩壊と、戦争はついに最終局面を迎えました。その一方で、もうひとつ、世界中を不安と恐怖に陥れたものがあります。新型肺炎・SARS(重症急性呼吸器症候群)です。38度以上の熱や咳、呼吸困難を引き起こし、健康な大人が数日で死に至ることもあるというこの病気。感染経路がはっきりせず、治療法も未だ解明されていません。これまでに感染者数は18の国と地域で2700人以上、死者は100人を越えています。SARSが世界に広がったきっかけは香港のメトロポールホテル。2月21日に宿泊した広東省の医師から各国の旅行者、少なくとも6人に感染、そして全世界へと広がっていったのです。同ホテルにはこの時期、日本人77人が宿泊していたことも明らかになっています。日々着実に感染者数が増えつづけている恐怖の肺炎・SARS。この病気を巡る世界各国の状況は!? そして日本政府の対応は!?
【香港】
道行く人のほとんどがマスクを着用。マスクを売る屋台まである香港。1000人近い感染者が出ている香港では感染者の隔離が厳しく行われています。100人以上が感染したマンションでは住民は集団隔離され、建物ごと消毒も行われました。ワールドツアー中のローリング・ストーンズもコンサートを中止。繁華街から人通りが消え、まさに原因不明の病気への恐怖感が街を覆い尽くしています。

【中国】
対照的なのは中国本土。マスクをしている人はおらず、政府も安全を強調しています。SARSの発生源と見られているのが実は中国の広東省。去年11月頃からこの肺炎が爆発的に流行していたことが後に判明し、このとき何も対策をとらなかったことがいまの大流行につながったともいわれています。それでも政府は安全さをアピール。ニュースでも肺炎から回復した人のインタビューを流しています。

【台湾】
これまで20人近い感染者を出し、全社員在宅隔離となった会社もあった台湾。隔離者には3食が自宅まで届けられるという徹底振りで、バスや地下鉄も消毒が欠かさず行われています。

【タイ】
空港では感染地域からの乗客に健康診断を行っているタイ。7人が感染し、2人が死亡しているこの国では、国内感染をおさえるため、感染地域からの帰国者には、健康診断、そして2週間の外出禁止が義務付けられました。これを破ると6カ月の禁固、もしくは1万バーツ(約3万円)の罰金が科せられるそうです。

【アメリカ】
アジアから遠く離れたアメリカでも150人が感染しました。香港など旅行先でウィルスに触れたのです。そんなアメリカで生まれたのがマスクつきネクタイなるもの。いざというときはマスクとして使うことが出来るというのですが…。アメリカ政府はいち早く感染地域への渡航自粛を勧告。CDCはすでにワクチンの研究を始めているということです。

このように、各国に大きな影響を与えているSARS。謎が多い病気だけに、デマに近い未確認情報が数多く飛び交っているのも実情です。そうした未確認情報をいくつか取り上げてみました。
SARSは空気感染し、人が触った電話やエレベーターのボタンに触れたり、さらには握手しただけでうつる、そんな話が各国で語られています。また「ニューヨークタイムズ」は、「中国ではレストランで軽く咳をしただけで、同じテーブルを囲んでいた8人が感染した」とも伝えています。
先週、香港はネット発のデマで、住民が一時、パニックに陥りました。その内容は、香港が「感染都市」に指定され、輸出入が全面ストップする、というもの。この噂に住民は食料の買いだめに走ったそうです。このとき香港政府がデマを打ち消すために使った手段は、携帯電話。600万台もの携帯電話に、「そのような事実は無い」とメッセージを送信したのです。
その香港で流行っていたのが「乳酸菌飲料」。SARSの予防になるという噂がたち、通常の3倍以上を売り上げたということです。そして台湾のスーパーには対策コーナーが。
しかし売られているのは酢やトマトジュース。治療方法がわからないだけに、売られているのは「とにかく健康によさそうな食品」。こういった食品が台湾だけでなく、香港や中国本土でも売れているということです。また、中国・広州でも酢を使えば部屋が消毒されるとの噂が広まり、街中酢の匂いが漂っていたとか。
アメリカなどで言われているのが、「SARSは人から人へと感染していく毎に感染力は弱まるが、まれに、特に感染力の強い、『スーパースプレッダー』が発生する」というもの。突然通常以上の感染力を持つ人が現れ、その周りの人はバタバタと感染していく、というのですが…。
中国政府によると、北京のSARS感染者は20人あまり。しかし、「タイム」誌など海外メディアは、実際にはその5倍以上の患者がいるとの医師の告発記事を掲載しています。騒ぎを大きくしたくない政府が隠しているだけだというのですが、同じく実は感染者がいるのでは?と言われつづけているのが日本。「航空会社の客室乗務員が感染した」「ある県で患者が見つかった」などの噂が絶えません。
では、その日本の対応は一体どうなっているのでしょうか。厚生労働省によると、「感染の可能性がある」人はいるものの、「感染者はいない」としています。しかし香港・中国本土だけで1日60便以上の飛行機が日本に乗り入れるなど、多くの日本人、外国人が感染地域を行き来しているのです。さらに、当初、世界へとSARSが広まるきっかけとなった香港のホテルに宿泊していた77人の日本人。政府は「プライバシー保護のため」と追跡調査を行っていないのです。情報が錯綜している上、なかなか公表もされない日本。本当に感染者はいないのでしょうか。SmaSTATION‐2スタッフは厚生労働省を訪ねてみました。しかし、なんと忙しいから、とカメラ取材は拒否。そこで電話取材を試みたのですが、「(日本に感染者がいる)可能性は否定できないですけれども、いま現在は発症したと断定できるものはない。注意喚起はしています」とのこと…。未だ解明されない謎の肺炎・SARS。果たして、その実態は!?
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