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今週、日本では拉致被害者5人の帰国に関する話題で持ちきりでした。が、北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国では、その件に関して一切報道していないのです。では、今週の火曜日、5人の拉致被害者が24年ぶりに帰国を果たしたその日、北朝鮮のテレビはどんなものを放送していたのでしょうか?
国 名 朝鮮民主主義人民共和国
人 口 2254万人(韓国の約半分)
通 貨 ウォン(1ウォン=0.8円)
(1ウォン(韓国)=9.8円)
物 価 コメ1kg=44ウォン(35円)
バス・電車料金=2ウォン(1.6円)
結婚や葬式でも職場の許可と国が発行する「旅行証明書」がないと旅行することができません。
北朝鮮の放送局は全部で3局。すべて政府・朝鮮労働党の管理下にあり、内容は統制されています。代表的放送局は唯一の全国放送である「朝鮮中央テレビ」。しかし平日の放送時間は夕方5時から夜11時までのおよそ6時間だけです。午後5時、「金正日将軍の歌」と共に放送が開始。3局あるどのテレビ局も放送開始の際にはこの歌が流れます。歌が終わると、ニュース。トップニュースは金正日氏による地方部隊視察の話題でしたが、驚くべきは金正日氏の紹介のあまりの長さです。「朝鮮労働党総書記であり、朝鮮民主主義人民共和国国防委員長であり、朝鮮人民軍最高司令官であり、我が党と我が人民の偉大なる領導者、金正日同士は…」と始まったニュースは、この話題だけを流し、10分間で終了しました。このあと、6時54分からは各地の中学校を紹介する番組で、「この学校には毎日、故金日成主席の墓に花を供える三つ子の生徒がいる」という話題が。7時4分からは朝鮮半島を初めて統一したドンミョン王の物語を伝える歴史ドキュメンタリー。7時24分からは「祝福」というドキュメンタリー番組が放送されました。この番組は、韓国に捕まっても考えを変えず、北朝鮮に送還され英雄になった男が60歳にして結婚し、誕生した女の子になんと金正日氏から「祝福」という名前をもらったというものです。そして午後8時、再びニュース。しかし内容は5時のニュースの繰り返しです。その後は天気予報ですが、内容は地図もなくいたってシンプル。実は、北朝鮮では「地図」は重要な国家秘密。公の放送で地図が出ることはないとか。その後は「偉大なる領導者金正日同士の名言」。そのタイトル通り、金正日氏が語った「名言」が紹介される番組です。毎日この時間までは、ニュースや教養番組が中心。しかし、これ以降は「娯楽の時間」になり、北朝鮮版「バラエティー番組」が流され、人気のある時間帯です。例えばドラマ「ピョンヤンはアリランを歌う」は、連続ドラマで40分ほど放送されているもので、物語の主人公は朝鮮戦争で生き別れになった夫婦。現在夫は北朝鮮でアリラン祭の演出家をつとめ、妻はマニラでダンスの教師として生活していますが、妻は、子供を育てるために別の金持ちの男と愛のない再婚をしています。それから50年、偶然テレビで夫を知った妻と子は…といったストーリーです。歌番組「テレビ音楽会」は、毎回数組の北朝鮮を代表する歌手が歌を披露する人気番組。どの歌も金正日氏を称え、忠誠を誓う、といった内容で、歌手はみんな澄んだ発声をしています。実は北朝鮮では、ハスキーな声は「色情と不倫を助長する資本主義的な音声だ」という理由で嫌われるのだとか。この他、地方代表の秀才が「サイダーの泡よりビールの泡のほうが長持ちするのはなぜ?」といった科学の問題に答えるクイズ番組や、子供向けのアニメ番組も。これは、たぬきが知恵を使って悪党のオオカミをやっつけるといった内容だとか。こうした番組を放送し、午後11時、「我らの金正日同志」という合唱に続いて、国旗が映し出され、「朝鮮中央テレビ」の1日の放送は終了します。内容は全て国に統制されている北朝鮮のテレビ。それは、国の指導方針を国民に刷り込むための、まさしく「宣伝するための道具」に過ぎないのです。
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