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様々な医療ミスが発覚する昨今。医療現場の実態と共に、正しい病院と治療法の選び方を紹介する新コーナー「Smaクリニック」が始まりました。
第1回目のチェック項目は「間違いだらけの注射・点滴」です。
大事故に至らなかった医療事故の3割を占める注射や点滴のミス。
そこから身を守るためには…? 医療事故の被害者を支援・救済する活動を行っている写真家・医療ジャーナリストで、「これで安心!病院選びの掟111」(講談社発行)の著者でもある伊藤隼也さんにお話を伺いました。
皆さんは、注射や点滴による医療ミスがどれくらいの割合を占めるか知っていますか? 大事故には至らなかった、あるいは未然に防げたケースを「ヒヤリ・ハット事例」または「ニアミス事例」と言いますが、その発生状況データ(1999年作成)によると、31%と一番多いのです。2番目に多い転倒・転落事故が15%であることからも、その発生率の高さは歴然です。このような状況を生む原因――それは、日本の医療システムにあるのです。
日本では51年前に厚生労働省から、静脈注射および点滴、直接血液に薬を入れるものは非常に危険なので、看護師はやってはいけないという通達が出ました。その通達が生きたまま現在まで、暗黙の了解のもとで、看護師は注射をしていました。が、急に今年9月30日になって、その通達内容を取りやめることが、制度として確立したわけです。ところが、ここには憂うべき問題が…。「まず、教育制度がちゃんとできていないんです。その上に、制度的に“看護師であれば誰でもいい”ことになっているんです。これは逆に危ないわけです」と伊藤さん。「“医師の監視のもとに”という但し書きが付いてるんですが、誰も監視なんかしていないじゃないですか。事故が起こる可能性がより高くなるのは当たり前です」。大切なのは事故が起こらないシステムを作ることだと、伊藤さんは言います。しかし、それが作られてないのが日本の現状なのです。
では、欧米の現状はどうなのでしょうか? アメリカでは危機管理システムや意識が、日本よりも進んでいます。「アメリカの看護師は行える医療行為の幅も広く、日本と違って医師と対等の立場で意見を交わします。時には医師のやることをチェックしたりもする。そして医師免許と同じように、看護師の免許にも更新制度があるんです」と伊藤さん。対して、日本は看護師は医師に対して隷属的。更新制度もありません。また、日本における医師の国家試験には実技すらありません。アメリカの医療に対する意識やシステムと、まったく逆なのです。これでは、同じようなシステムを導入するのは、現状では考えられません。では、私たちはどう対処すればいいのでしょうか?
「注射や点滴を打つ直前に必ず、本当に自分用の注射・点滴かを確認して下さい」と伊藤さん。ミスのほとんどは別の患者のものを投与したり、薬の中身や量を間違えたりしたことで起こっています。というわけで、自分の身を守るためには、この確認作業が重要なのです。「私は〇〇ですが、これは私用の注射ですよね?」と、まずは確認。できれば薬の名前と量も聞いたほうがいいでしょう。そうすることで看護師さんも改めて確認することができるのです。実際、危機管理を心がける病院では、注射や点滴の前に医師や看護師が、声を出して患者さんの氏名や薬の名前を読み上げて、確認を行ったりしています。もしあなたが注射について聞いた時ちゃんと答えてくれない看護師がいるような病院は今すぐ変えて下さい。 また、事前にアレルギーなど自分の情報を医者に伝えることも忘れずに。それを聞かない医者は信じてはいけません。さらに、注射・点滴後の対応にも注意。打った後の注意事項(副作用や禁止事項)をきちんと説明しない医者はダメです。注射後の心停止など、万が一の事態発生に備えているかもチェックして下さい。「医療事故を防ぐためには、医療制度の改革や病院の環境改善も必要ですが、やっぱり患者さん自身が“知ること”が最大の予防策なんです」(伊藤さん)。
注射・点検ミスを防ぐためのチェックポイント
(1) 直前に必ず、自分用の注射・点滴かを確認する。
(2) アレルギーなど自分の情報は事前に、医者へ伝える。
(3) 患者の話を聞かない医者、打った後の注意事項を説明してくれない医者はダメ。
(4) 治療後に起こりうる万が一の事態に備えているか、確かめる。
最近の注射・点滴関連医療ミス
97年 和歌山医大付属病院で看護師が、赤ちゃんに胃の中に管を入れて、そこへ注射器でミルクを流していた。が、誤ってもう1つ付けていた静脈ルートへの点滴にミルクを入れてしまった。そのため、血液の中にミルクが入り、赤ちゃんは死亡。
'01年2月 長野県松本市S病院の入院病棟で、リウマチ性の病気で入院していた男性患者に対し、看護師が本来打つはずの鎮痛剤ではなく、全く別の患者に用意された低血圧治療薬を間違って注射。患者の家族が、機械にセットされた注射器のラベルに別の患者の名前が書かれていたことに気づいた。慌てて注射をストップしたものの、血圧が徐々に低下。男性患者は2日後に死亡した。
アメリカの医療制度
アメリカでは4年生の大学を出た人、もしくは卒業後に社会に出た人しかドクターのコースに入れません。だから日本のように、18歳で医者になる人はいないんです。さらに、偏差値が高いというだけでは医者にはなれません。大学院大学に入る際の面接で、なぜ医者になりたいのかを厳しく追及されるからです。また、日本の正看護師に相当するレジステッド・ナースは4年制大学を卒業しなければなれません。ナースの中にも何段階かあり、それぞれが専門性の高いスキルを持っている。そのスキルを磨くため、それぞれができる医療行為も規制されています。中には、日本の研修医レベルの医療行為をできるナースもいます。さらに、医師とナースの立場が対等。チームとして仕事をしています。ちなみに、看護師はアメリカの医学界で一番尊敬されている職業です(2位は薬剤師、3位は医師)。もちろんドクター、ナース共に免許更新制度があり、そのスキルは厳しくチェックされています。
(伊藤さん・談)
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