
先週20日、「納豆を食べるとダイエットができる」という内容を放送した番組が、あたかも効果が出るように改ざんし捏造されていたことが報道され、世間を騒がせました。納豆工場では、放送の翌日から注文が殺到し、発注量は通常の10倍にまで激増。その為、急遽作業員を雇い、工場は増産体制に入ったのです。ところがその矢先、捏造問題が発覚。注文は一挙に激減し、雇った作業員を解雇する事態に陥っています。納豆業者の中には、大量の在庫を抱え、廃棄処分にするしかない工場もあるというのです。そんな中、SmaSTATION!!の番組HPにはこんなメールが。「ダイエットが出来ると思い、納豆をたくさん買いだめしてしまいました。これまでにも納豆は体に良いと聞いていたんですが、それって本当ですか?」。確かに、“納豆は体にいい”と昔から言われてきましたが、それは本当なのでしょうか?早速、SmaSTATION!!スタッフは納豆の専門家・倉敷芸術科学大学生命科学部生命科学科の須見洋行教授にお話を伺いました。
須見教授によれば、納豆には、納豆にしか含まれていない成分があるとか。あの独特のネバネバ…これはナットウキナーゼという成分で、納豆菌に含まれている酵素のひとつ。血液中に出来る血栓を溶かす効果があり、血栓が元で引き起こされる脳梗塞や心筋梗塞の予防・改善をする働きがあります。さらに、「ビタミンK2」は、骨粗しょう症の予防効果があるそうです。池上さん、納豆って体に良いんですよね?
【池上解説】
体にいいっていうことと、ダイエットにいい、っていうのはまったく別のことですよね。見ている人を裏切るような番組を作る、というのは言語道断なんですが、その一方で、「これを食べるといいよ」っていわれてそればっかり食べていると栄養のバランスが取れないでしょ。「バランスのいい食事がいい」という常識を私たちはそもそも持っているのだから、それを忘れないで。常識を働かせましょう!

先週16日、歌手の松山千春さんが、北海道・夕張市の商店街でナント100万円の買い物をしました。それは、危機に瀕している夕張市民を励ますためでした。夕張メロンやファンタスティック映画祭で知られる、北海道夕張市。その夕張市は、財政が破綻――会社でいうなら、倒産状態にあるのです。そのため、成人式も危機に瀕していました。例年、市から60万円の補助金がありましたが、ことしはゼロ。唯一あるのは前年からの繰越金1万円だけ。そこで、新成人たち自らが募金など支援を求めたのです。その結果、全国各地から送られた支援金は、総額236万円。新成人たちは自分達で手作りの成人式を行うまでこぎつけたのです。余った200万円ほどの支援金は、来年以降の成人式へ繰り越されます。
現在、夕張市が抱える借金はおよそ632億円。これは市の1年間の予算の14倍。その為、夕張市民は、厳しい社会生活を強いられています。公共料金は軒並み増加、市民病院は縮小し、市役所職員は半数になるのです。このように財政が破綻寸前の市町村はなにも夕張に限ったことではありません。鹿児島県奄美市、静岡県熱海市などが大きな借金を抱えた「危機的状態」にあると公表しているのです。そもそも、どうして町が財政破綻するんでしょうか?
【池上解説】
一般的なケースでいうと、例えばある市が10億円の施設を作ろうとすると、補助金という形で国が半分負担してくれるんです。残りの部分のうちの何割かも、地方交付税という形で国が面倒見てくれるので、自分たちの負担が少ないように見えるんです。でも、そういったものをどんどん建ててしまうと、少しずつではあって負担がどんどん増えるし、施設の維持費もかかるんです。その結果借金の山だけが残って、財政が破綻してしまうわけです。

今週日曜日、世間の注目を集めた宮崎県知事選が行われ、元タレントのそのまんま東氏が2位に7万票もの大差をつけ当選しました。初登庁では公約どおり作業着姿で現れ、笑顔を見せていましたが、就任初日に鳥インフルエンザ被害が発生、緊急記者会見を開く事態に。いきなり知事としての手腕が問われることになりました。そんな中、番組HPにはこんなメールが寄せられました。「そのまんま東さんの当選に物凄く驚きました。知事になった東さんにはどんな権限が与えられるんでしょうか?」。各都道府県のトップに立つ知事。はたしてどれほどの権限をもっているのでしょうか?
まずは「予算」に関する権限。知事の場合、議会の承認は必要なものの、自分ひとりで予算を編成することができます。しかもその細かい使い道については議会の決議も必要ありません。そのまんま東さんが動かす宮崎県の予算はおよそ6000億円。どう振り分け何に使うか、東さんが決めることができるのです。これが東京の石原都知事ともなれば、予算規模は6兆6000億円。ベルギーの国家予算にも相当する金額を自由に動かすことができるのです。続いて、「条令作り」に関する権限。知事は条例案を提出できるのはもちろん、議会で決まった条例が気に入らなければ再審議を求める「再議権」を持っています。さらには県庁の人事権、そして病院・薬局・貸金業・・・膨大な数の許認可権も持っています。そして税金を徴収する権限も持っていて石原都知事は新たに「ホテル税」を導入し、大きな話題になりました。こうした権限を背景に、知事は「博覧会の中止」「埋め立て事業の中止」「ダム建設中止」という大胆な方針転換に打って出ることもできるのです。しかし一方では、この絶対的な権力が様々な汚職事件を生む原因とも言われているのですが…。
【池上解説】
どうして知事にこれほど大きな権限が与えられているのかというと、要するに県民によって直接選挙で選ばれているからなんです。地方自治というのは、そこに住んでいる人たちが、自分たちでそこの政治をしていこうということ。その代表を自分たちの選挙で選んでいるわけですから、その人が一番偉い…言ってみれば、知事はその県の大統領だと考えればいいと思います。香取さんも劇団ひとりさんももうすぐ30歳でしょ。知事は30歳でなれますから、おふたりとも立候補しようと思えば出来る年齢になりますよ。

今月、富山県でこんな冤罪事件が発覚しました。強姦などの罪でおよそ2年服役していた男性が、出所後、全くの無実だったことが判明。別の人間が容疑を認めたのです。富山県警はその後、この無実の男性に事情を説明、謝罪したといいます。冤罪とは、無実であるのに裁判で有罪が確定した場合を指します。果たして、この男性にはどんな補償がされるのでしょうか?
冤罪被害者への補償は、刑事補償法という法律で決められています。それは、身柄を拘束された日数分のお金を国が支払うシステム。その金額は、一日あたり、1000円から1万2500円。拘束されなければ得たであろう収入や、有罪となった経緯、肉体・精神的苦痛など様々な要素によって決められるのです。約60年前、熊本県で起きた強盗殺人事件で免田栄さんが無実の罪に問われ、一度は死刑を言い渡されました。いわゆる「免田事件」では、31年7ヵ月に渡る拘束日数への補償金として、9071万2800円が支払われました。しかし、こうした冤罪事件は本人だけの問題ではありません。
秋山賢三弁護士
「私が経験している例では傍にいる奥様が精神状態がおかしくなったり、あるいは場合によれば自分の手首をカミソリに切ったり子供さんがおかしくなったり全体に家庭が崩壊に近くなるようなケースが間々あるわけなんですね。」
【池上解説】
富山の冤罪事件の場合、任意で取調べを受けた男性が犯行を認めてしまったので逮捕され、裁判で有罪が確定してしまいました。検察は、間違いなく有罪になるものを選んで起訴します。本当は、警察の判断が間違っていないかどうかを検察がチェックするという構造になっているわけですが、本人が認めてしまうと、「認めているのなら…」ということで安易に流れてしまっていることもあるんです。
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