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――お久しぶりの出演は、いかがでしたか?
今日は、香取くんに会うなり言っちゃったわ。「ずい分、のんびり生活なさっているのねぇ」って(笑)。お顔立ちは、相変わらずお美しいんですけど、ちょっと、ちょっとね、体のくびれが足りないんじゃないって(笑)。
――香取さんは、何と?
「はい、本当に気楽な生活してるんで」っておっしゃっていたわ。でも、それまでが、どれだけ大変だったかってことよね。まあ、そういう時期もあっていいんでしょうけど。
――ところで、「表現の自由と検閲」という特集は、どうご覧になりましたか?
これは、大テーマだから、もっと見たかったですし、もっと話したかったわ。せっかく、いいテーマを取り上げているんだから、もったいなかったですね。でも、韓国にしても、日本にしても、どこがどうダメなのかっていう線引きがはっきりしないところが、考え方に余裕がないなって感じがしますよね。アメリカなんて特にそうで、宗教的なことや政治的なことはもちろん、タバコを吸うシーンでさえも青少年に悪影響を与えるからと、ナーバスになっているそうですよ。それから比べると、日本はまだいい方だと言われますけど、我々、現場にいるとね、本当にワンカット、ワンカット一生懸命作っているのよ。それが、検閲で落とされちゃったら、辛いですね。
――オンエアでもおっしゃっていましたが、演じる上では、審査は意識されないと。
全然しませんね。映画は、フィルムをつないだ監督のものですから、監督がどう判断するかがすべてだと思っています。役者も監督も、真剣勝負をして作り上げたものだからこそ、判断する場合にも、なるべくたくさんの方にじっくり見ていただいて、決めていただきたいですね。基準を明確にすることも大切かもしれませんね。映画の審査は、子供を守るためにもあるんでしょうけど、いい作品に出会うことは、その人自身の成長のメモリになっていくわけだから、他人が一概に決められることじゃないとも思います。
――韓国では、検閲を巡って裁判にまで発展しました。
黒くフィルムを塗って上演するって、それもひとつの表現ですよね。もちろん、抵抗としての手段ですけど。でも、削除を主張する側が言うほど、本当にそんなにひどいものなのか、全体を通してひとつのストーリーとして見ても、それほどダメなのか、判断が難しいですよね。検閲によって失われたフィルムこそ、見てみたいと思います。
――番組のエンディングで、今後、表現の自由を守るのは、香取さんのような若い世代だとおっしゃっていました。
香取くんのような若い世代が、枠組みにとらわれて作品を作ることがないといいなと思います。自主規制というか、周囲の顔色を気にしながら、お上手に世間を渡るようにはなってほしくないじゃない。若い人らしい無謀さっていうのが、美しいってことは昔からあることですからね。そういう意味で、香取くんには、これからも期待しています。 |
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(加賀まりこさん・談) |
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