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ついに始まるワールドカップドイツ大会アジア地区最終予選。初戦にして最大の山場でもある、北朝鮮戦がいよいよ9日行われます。しかし北朝鮮では、この試合のもようは生中継されないといわれています。果たしてそれは本当なのか?本当ならばその理由とは?北朝鮮におけるスポーツ中継の意味と、その現実に迫りました。
 北朝鮮において、サッカーは最も人気があるスポーツのひとつ。卓球と並んで国技にもなっています。サッカーの歴史は「常識」といわれるほど生活に浸透しており、平壌でもいたるところで子ども達がサッカーボールを蹴る姿を見ることが出来ます。そんな北朝鮮で、今回のワールドカップ予選はどう、放送されているのでしょうか。

 1次予選でタイ、UAEといった強豪を抑え、見事アジア最終予選進出を果たした北朝鮮。平壌新聞は「わが国のスポーツ界の誇らしい勝利といわざるを得ず、このニュースに接した人民は祖国の栄誉のために戦った選手達に祝賀を送っている」と、最終予選進出を報じました。しかしテレビでの試合中継は一切なし。朝鮮中央放送で唯一、録画放送されたのは、北朝鮮が4−1と圧勝したホームのタイ戦だけで、それも放送は28分にまとめられたダイジェスト。その他の試合はニュースにもなっていませんでした。
 では、ワールドカップの本大会はというと…前回、2002年に行われた日韓ワールドカップ大会のときは、10万人以上が参加した巨大イベント「アリラン祭」のもようが連日報道がされ、試合の生中継はありませんでした。


 北朝鮮が唯一本大会出場を果たした1966年のワールドカップイングランド大会はどうだったでしょうか。サッカーといえば圧倒的にヨーロッパ・南米が強かったこの時代、1次リーグ最終戦、北朝鮮が対戦したのは、優勝候補の筆頭だったイタリアでしたが、北朝鮮は1−0とイタリアを完封、見事ベスト8入りを果たしたのです。このときの北朝鮮チームは「赤い稲妻」と称えられ、いまもこの1戦は「ワールドカップ史上最大の番狂わせ」と語り継がれています。
 当時、テレビ中継はまだありませんでしたが、この大会をまとめた記録映画が存在します。「我がサッカー選手たち」です。この映画では、奇跡の勝利を収めたイタリア戦について、試合開始から終了までを詳しく取り上げています。しかし、準々決勝でポルトガルに3−5で敗れた試合については、北朝鮮選手のゴールシーンだけを紹介、逆転されたシーン、そして試合の結果については一切触れていないのです。
 サッカー以外のスポーツの試合についてはどうなのでしょうか。昨年のアテネオリンピックのときは、自国選手が活躍したものを中心に、連日20分ほどのダイジェストが放送されましたが、例えば男子体操団体では、中国の選手の演技が取り上げられ、優勝した日本の活躍などは登場しませんでした。しかし、日本やアメリカなど、西側諸国の多くがボイコットし参加しなかった1980年のモスクワオリンピックの場合は、ほとんどそのまま試合が放送されたというのです。

 その一方で、世界的ビックタイトルではなくても、北朝鮮選手が日本人選手に勝った女子ボクシングの試合などは、ほとんどノーカットの試合映像に加え、選手の活躍を称える座談会まで放送されました。「北朝鮮で国際試合を放送する原則は、北朝鮮国民の自尊心、民族的自尊心と北朝鮮にいるというプライドを持たせるために放送するのです。ただの娯楽ではありません。北朝鮮選手が日本に負けたなんていうのを見せてしまったら、日本の方が優れているということになってしまいます。こういうのを放送しないというのは初歩的な原則です。そのため実況中継はほとんどしないのです。北朝鮮が勝ったり引き分けでもしたら大きく放送しますよ」(元朝鮮中央放送関係者)。通常であれば、今回の日本戦も生中継はもちろん、なんと負けた場合は結果も放送されない可能性が高いというのです。


 ところで、この日本・北朝鮮戦については、お隣の韓国でも関心が高く、メディアも「サッカー戦争突入」と、大きく取り上げています。前回のワールドカップを共催した日本と、同じ民族の北朝鮮――韓国の人々は、北朝鮮を応援するという意見が圧倒的でした。そんな中、朝鮮中央通信が報じたところによると、北朝鮮の朴奉珠首相(パク・ポンジュ)が2日、異例のコメントを発表しました。「体育関係者は熱烈な祖国愛を抱き、あらゆる国際競技で革命的気性と威力を余すところなくとどろかせなければならない」。これは、9日の日本戦にむけ、代表チームにハッパをかけたものと見られています。更に、試合の翌週、2月16日は金正日総書記の誕生日。北朝鮮代表の闘志は最高潮であることは間違いありません。運命の北朝鮮戦まであと3日!素晴らしい試合になることを期待しましょう。
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