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同心円状に言葉が変化していく方言周圏論という考え方があります。これは民俗学者・柳田國男が全国の「カタツムリ」の呼び名を分析して発見した学説。デンデンムシ⇒マイマイ⇒カタツムリ⇒ツブリ⇒ナメクジと、東西に見事に変化しているのを発見したのです。
この学説は、江戸時代まで都があった京都や首都となった東京を中心に方言が広まってゆき、同心円状に同じ方言が使われるというもの。しかし、厳密に言えば、京都・東京を中心にではなく、糸魚川・浜名湖を結ぶ線を境に東西に分布しています。これは、日本アルプスや大井川・天竜川など自然の難所が人の行き来を妨げた結果といわれています。この傾向は、トンボなどの言葉でも確認できます。全国に広く分布する「トンボ」ですが、東北や九州では「アケズ」や「アッケ」などの言葉が使われています。この言葉は古代語の名残で、実際古事記や万葉集では方言の「あきづ」が使われていました。
南インドのタミル語という言語が日本語とよく似ています。動詞としては「鳴る」「成る」「垂れる」「逃げる」「張る」「織る」「祭る」など、名詞としては「神」「畔」「田んぼ」「畑」「粟」「粕」「粥」「米」「糠」「餅」「機」「金」「宝」など500語が共通しているのです。また、日本の和歌同様タミルの古典にも五・七・五・七・七で終わる形式の詞が残されています。また、タミル語が属するインドのドラヴィダ語も似ている点が。発音的には、「口」は「クッティ」、「足」は「アティ」、「尻」は「シリ」、「馬」は「マー」、「米」は「クッマイ」、「栗」は「クル」、「皿」は「サッライ」。動詞では「行く」は「エーク」、「歩く」は「アルンク」、「見る」は「ミリ」、「切る」は「キール」と、多くの類似点があります。
なぜ、「ニッポン」と「ニホン」というふたつの発音があるのでしょうか?実はこれ、昔言葉の名残だといいます。これは、「ハヒフヘホ」の発音が時代に応じて変わってきたという事実に基づくもの。奈良時代、「ハヒフヘホ」は「パピプペポ」という発音だったそう。この時代に「ニッポン」という発音が確立。その後、平安・鎌倉時代になると「ファフィフゥフェフォ」と発音が変わり、「ニホン」に変化したのです。沖縄県・宮古、八重山地方ではこの名残でいまだに「ハヒフヘホ」を「ファフィフゥフェフォ」と発音します。九州北部では「先生」のことを「しぇんしぇい」と発音しますが、これは16世紀の日本では「サシスセソ」が「シャシィシュシェショ」と発音されていた名残。その証拠にイエズス会の宣教師たちは日本語の辞書を作るにあたり、サ行をアルファベットで「Xa、Xi、Xu、、、」と表記していたそう。
同心円状ではありませんが、職業などを通じて、言葉が異なる場所に伝わる場合もあります。「カボチャ」を意味する「ボーブラ」は西日本を中心に使われていますが、これが秋田に“飛び地”的に存在するのです。醤油製造業者や漁師の移住・交流などによって「オオキニ」(ありがとう)、「ベニツケユビ」(薬指)、「スクモ」(もみがら)などの西日本の方言が千葉県にもたらされたケースなどもあります。また、大名の配置転換によって、方言が飛び地することもあります。愛媛県の宇和島では「来なさい」を「キサイ」と発音しますが、これは伊達藩のお膝元・宮城県で使われる言い方なのです。伊予宇和島藩の初代藩主は伊達秀宗。伊達秀宗は父・政宗の長子として天正(1591)年に生まれ、慶長19年(1614)年、宇和郡十万石に封ぜられて翌、元和元年(1615年)に入国したのです。
北海道
アオタン(打ち身のアザのこと)
北海道の炭鉱で使われていて全国に拡大したという説が有力だが、花札用語からスラングとして普及した可能性がある。
九州地区でもこの使い方があるが、今では全国的に使われている。
他の地方では「くろぢ(岩手)」「くろにえる(愛知)」「ぶんず色になった(福岡)」
「にえる(和歌山)」「つぐろじん(鹿児島)」など青アザの色を描写した言葉になっているが、意味不明なのが「オール(沖縄)」
〜つしょ
「〜でしょう」の意味。北海道の若者から東京に伝わった。
EX:うまいっしょ

東北地方
違かった
もともと幼児語だった可能性が高い。
東北南部で昔から使われていたが、現在では埼玉・千葉県を経て東京の言葉になっただけではなくこの言葉を使う大人が少なくない。
意味は「違う」の過去形「違っていた」の意味で話し言葉でのみ成立する言葉であるかと思われたが、使う人が増加、ワープロ文書でも「違かった」と打つ人がいる。
どうやって変換しているのだろうか?
「きれかった」も同様の幼児言葉から発達。
見れ
「〜ろ」と同じ命令形、東北地方の方言ではすべての
動詞の命令形を仮定形と同じく「〜レ」といっていたことから
定着。EX:出れ、考えれ

北関東
かったるい
現在は全身がダルい状態を意味するが、もともとは腕がダルい状態を示していた。腕のことを「かいな」と言うので、腕がダルい事を「かいなだるい」と言うようになり、それが変化して「かったるい」となった。
なにげに
「何気なく」と同じ意味。語尾の「無し」がなくなって「なにげに」に変身。東京近郊の20台以下の層に多く使用される。
同じような言葉に「さりげに」がある。

関東
〜じゃん/チョー/〜なきゃだから/うざったい
〜じゃんは「〜ではないか」の意味。
横浜の言葉と思われがちだが、元もとは愛知、静岡などで使われていた方言。
これが山梨などを経由して東京へ逆流。
今では東京・神奈川などでは一般的ないいまわしとなっている。
チョー
最近の流行から広まった感があるが、1970年代に愛知県や静岡県で使用されていた例もあり、意外に古い言葉である可能性が、、、
うざい
「面倒くさい、不快だ」の意味。
この語源は「うざったい」。広辞苑には「うざつく」(小さいものが多数集まって動く)という言葉もあります。もともとは多摩地区の方言だったものが、1990年代に入って東京に広がり全国語化した東京都区内の若者に盛んに使われるほか茨城県や千葉県では幅広い層で使用が認められる。

関西
まったり
もともと近畿地方で使われていた言葉で、京都では「とろんとした口当たり」の意味で江戸時代から使われていた。
料理マンガ、料理番組などでこの表現が全国に広まったときはまだ味覚をあらわす言葉ではあったが、最近では「のんびりした状態」を表す言葉として定着。
ムカツク
平安時代末期から、「胸がむかむかする」「はき気がする」という意味で使われていたが、江戸時代になり「腹が立つ」の意味で使われるようになった。
オモロイ
「面白い」が短縮された「オモロイ」となるわけだが、短縮の方向が異なった。
北海道や山形県では「オモシイ」での使用例がある。

中国地方
ばり
「ばり熱い」「ばりかっこいい」など文頭につく「ばり」は「大変、とても」の意味。
中国地方から西日本で広がった。
英語のVERY⇒「べり」⇒「ばり」に変化したという説もある。

九州
行くです
動詞・形容詞に「です」を付けるのは明治期から九州地方でつかわれる方言の特長。
「食べるです」「面白かです」など。

サ入れ言葉
『終わらサせて下さい』
『しゃべらサせていただきます』。
使役の助動詞「せる」を付ける動詞+『させる』、

レ足す言葉
可能をあらわす言葉+仮定形の「れる」が基本形。
「読める」+「れる」=読めれる、、
ちょっといいにくそうなのだが東海地方では頻繁に使われる。

ラ抜き言葉
説明の必要もないかと思うが、現在の言葉の乱れとしてよく出てくる日本語。
「見る」の”可能系”は「見られる」だが、今の人は「見れる」と表現。
もともと静岡近辺で生まれたのだという。
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