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INTERVIEW

貴志祐介先生インタビュー

小説『新世界より』で日本SF大賞を受賞したのをはじめ、『黒い家』『鍵のかかった部屋』『悪の教典』など、数々の傑作を世に送り出している作家・貴志祐介先生。30年という長期構想の末に大作『新世界より』を書き上げた先生に、小説の制作秘話や今回のアニメ化に期待することなどをお聞きしました。

――この作品を書こうと思ったきっかけを教えてください。

思いついたのは30年以上前、私が大学に入った頃になります。オーストラリアの動物行動学者コンラート・ローレンツが1970年に発表した『攻撃 悪の自然誌』という本を読んだのがきっかけです。そこに、人間というのは、元々の力が弱いがゆえに、同種を攻撃する抑制が非常に弱いということが書かれていた。その記述に着想を得て、こういう形の小説に仕上げるのに30年かかりました。

――時代設定を"1000年後"という未来にしたのには、どんな理由があるのでしょう。

いろいろな年代を検討した結果、ギリギリの折衷案として1000年後という未来に設定しました。理由のひとつは、異様な進化を遂げた動植物を描きたかったということ。それだと本当は1000年程度の期間では足りない。1万年とか10万年とか、それくらい時間を経た未来にしたかったのですが、そのいっぽうストーリーの都合上、現代文明の遺物みたいなものも残ってなければいけなくて。コンクリートの寿命とか、いろいろ調べた結果、1000年くらいならすり合わせることができるかなということで、この時代設定になったんです。

――パラレルワールドという設定にもできたかと思うのですが、そうしなかったのにはどんな意図が?

パラレルワールドという設定は、映画や小説など、いろいろな分野で使われていますし、ひとつの有効な手段だとは思うのですが、この作品ではそうしたくなかったんです。あくまでも現代の我々の社会と地続きで、この世界が出来上がったという設定にしたかった。読者にそう思ってほしかったんですね。小説は、主人公の早季が1000年後の子孫に宛てた手記として書かれているのですが、それは同時に彼らの先祖である我々に対してのメッセージでもある。そういう構造にしたかったんです。

――アニメ化については、どんな印象をお持ちでしょう。

この作品を映像化するにあたっては、アニメという表現が一番向いているのかなと思います。アニメは無限の可能性を持った分野。実写でも現代の技術を駆使すればいろいろな映像が作れますが、本物とのギャップが気になることも多々あります。特に見ている時に、「これは特殊効果だな」と思ってしまうところが一番の問題。アニメに関してはその境目がありませんから。
それと、アニメは戦闘シーンなどで残酷な表現をする上でも向いていると思います。笑わせたすぐ後に凄惨な場面を描写しても、実写と比較してアニメの方が違和感が少ない。血しぶきが飛ぶようなシーンを描いても、実写ほど生々しくグロテスクにならないというイメージがあります。

――アニメ版『新世界より』に期待することは?

自分が原作で一番描きたかったこと、誰もが持つ人間の"業(ごう)"のようなものを大切に描いてほしいと思います。そのしがらみ、困難にいかに対処して乗り越えていくか。そこをきちんとふまえて描いてほしい。でも、脚本を拝見して、何も心配はないなと。実にしっかり理解して書いていただいているなと思いました。逆に、自分が脚本に起こしても、ここまでうまくまとめられないんじゃないかと思うほど。いっぽう、アニメとしての表現はお任せしています。自由な発想で、原作にはない遊びを積極的に取り入れてくれることに期待しています。

――視聴者にメッセージを。

物語の舞台を、今から1000年後の地続きの未来ということで設定しましたので、自分がその時代に生まれていたら、自分が早季だったら、覚だったらどうなんだろうと、それをイメージしながら観てほしいですね。自分が登場人物になった気持ちで作品にのめり込んでもらえれば、すばらしい映像体験が出来ると思います。

CSテレ朝チャンネルではアニメ『新世界より』の特別情報番組を放送していきます。原作者が語る作品の見どころなど、未公開の内容もまだまだあります。

――アニメ『新世界より』の見どころとは?

「ある意味ユートピアのような世界が描かれています。しかし・・・(中略)・・・その葛藤と、命を賭けた彼らの冒険を楽しんでもらえたらと思います。」

CSテレ朝チャンネル アニメ『新世界より』特別情報番組の放送予定はこちらの公式サイト、またはテレ朝チャンネル公式サイトをご覧下さい。

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