2008年3月9日放送

ザ・スクープスペシャル
  

<特集1>  「番組で捜査の疑惑を指摘…引野口事件に無罪判決」

去年6月10日「ザ・スクープスペシャル」の放送で大きな反響を呼んだ、
「引野口事件」の一審判決が3月5日に出た。判決はやはり「無罪」

事件は2004年3月24日・福岡県北九州市引野口で発生した。民家火災の焼け跡から
58歳男性の遺体が発見され、その後、別件でこの男性の妹が逮捕、勾留期間は4ヶ月以上
にも及んだが、この女性は殺人・放火については一切認めず、また女性の関与を裏付ける
物的証拠も出てこなかった。しかし検察は殺人放火の罪でこの女性を起訴。
自白も物的証拠も無いなかで根拠となったのが、勾留中同房になった女性が、被告が
「兄の胸だけでなく首も刺した」と話していたとする「証言」。警察が改めて調べたところ、
被害者の首に刺創が見つかり、これが「秘密の暴露」であるとして、逮捕・起訴に至った
のだ。しかし、公判で浮上した数々の疑問…

(1)被告が事件について一切自白しておらず、犯行を裏付ける物証もない。
(2)立件の根拠となった「被告と同房の女性」証言には、数々の矛盾がある。
(3)死因をめぐる検察側鑑定にも数々の疑問点がある…
など、浮かび上がった数々の問題。そして一審判決は、同房者の証言に「虚偽の可能性」
があるとして、警察の捜査手法を厳しく断罪したのだ。

番組では、3月5日の一審判決を受けて関係者を再取材。また、判決内容を精査し、
問題点の検証も併せて行う。

<特集2> 「美女応援団も脱北?・ハンミちゃん一家離散…脱北者たちの“悲劇”」

2002年韓国釜山・03年大邱ユニバーシアード大会に登場した北朝鮮美女応援団。
一糸乱れぬ応援と絶やさぬ笑顔で「南北統一」を訴える彼女たちの姿は、韓国の人々の
注目を大いに集めたが、その一方で金正日総書記の写真を掲げ道路を行進する姿も
見受けられるなど、様々な意味で大きな印象を残した。日本からも多くの報道陣が
詰めかけ、報道されたことは記憶に新しい。

その美女応援団21名が政治犯収容所に収監されたというニュースが06年2月、韓国で
報じられた。報道によれば「女性たちは韓国で目にした全てを一切漏らさない、という
誓約を破ったため、収監された」という。しかしこの一報の後彼女たちに関する続報は
プツリと途絶えてしまった…。そんななか、我々は「収監された美女応援団数名が脱北
した」との情報を入手…果たして彼女たちの運命は?

一方、北朝鮮での恐怖の日々から逃れ、韓国で夢を抱き新生活を始めたものの、
悲惨な生活を送る数々の脱北者たち。社会になじめず犯罪に手を染める者、
コミュニケーションのすれ違いから韓国で結婚した夫に殺害された女性、
生活に行き詰まり、一家離散の状態になって北朝鮮に戻ってしまった人々…。

番組ではこうした脱北者の悲劇的現状について総力追跡。2002年5月、中国・瀋陽の日本
領事館に逃げ込もうとした「ハンミちゃん一家」を、韓国で鳥越俊太郎が取材。
騒動後の「知られざる流転の運命」について家族が語った。
さらに「南北融和政策」の影で彼らが置かれた厳しい現実についても追う。
また1950年代「帰国事業」で日本から北朝鮮に渡った後、脱北して日本に戻った人々に
ついても取材。彼らが置かれた、厳しい生活状況・日本政府の冷淡というべき扱いに
ついても取り上げ、脱北者を取り巻く様々な問題について検証する。

<特集3> 「御殿場事件第3弾…徹底検証!! 疑惑の『雨量ゼロ』」

2001年9月、静岡県御殿場市で少女にわいせつな行為を働いたとして10人の少年らが
逮捕された。しかし全員がえん罪を主張。
「僕たちは何もやっていないのに、警察から自白を強要された」
「無実を勝ち取るまで闘う、絶対にあきらめない」
そして彼らと家族の、長い闘いの道のりが始まった…

03年2月のザ・スクープスペシャル報道から5年、その過程で事件への数々の疑問や
捜査の問題点が浮上。検察側が裁判中に犯行日の変更を申し出るなど、事件そのものが
極めて疑わしい状況になった。さらに疑問を呈したのが新たに犯行日とされた日の「天気」。
少女はその日「傘を持っていたが、さした記憶がない。服が雨でぬれた記憶はない」と
しているが、当日は台風15号接近により、静岡県東部一帯に大雨洪水注意報が出され、
現場近くの測候所では犯行時間帯に、1時間3ミリの降雨量を記録していた。
我々の降雨実験でもこの状況は裏付けられている。
にもかかわらず、一審・控訴審とも少年や家族の主張を認めず、有罪判決。

しかし改めて、去年8月東京高裁が下した判決文を精査するなかで、
事件の大きな焦点となっている「当日の雨」に関して重大な疑惑が浮上したのだ。

番組ではこの「雨」の問題に焦点を当て徹底検証。高裁判決で出てきた2つの「雨量ゼロ」
記録について追跡取材…犯行現場周辺の雨量データを徹底的に洗い出し、記録に付随する
重大な疑問について独自検証する。さらに「犯行日変更」に伴い浮上した数々の矛盾点も、
再度現地取材で追跡。
また最高裁に上告し、その判断を待つ被告たちの現状と、彼らの無実を信じて支え続ける
家族たちの「闘い」もあわせて追いかける。


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