2007年8月12日放送

ザ・スクープスペシャル
  

<特集1>  海外セカンドライフ、夢の果ての悲劇・・・団塊世代“第二の人生”、その光と影

「第二の人生は海外で」…そう考える中高年が急増している。
団塊の世代約674万人が定年を迎える2007年、海外旅行の経験が豊富で、
新しいライフスタイルを進んで取り入れてきた彼らを中心に、老後を海外で過ごす人が
急増している。NPO「ロングステイ推進連絡協議会」には、退職金と年金をもとに、
海外でセカンドライフを…と考える人からの問い合わせが多数寄せられているという。
しかし、こうした人々が増加する一方、現地の生活でトラブルに巻き込まれたり、
生活に行き詰まる悲劇も起こっている。

今年4月、ニュージーランドに移住し第二の人生を送っていた58歳男性が、
妻・実母・元従業員とともに焼死。警察は事件・事故両面での捜査を開始したが、
住宅に外部から侵入した形跡がないことや家の中にガソリンがまかれていたこと
などから、無理心中や自殺の可能性もあると見ている。男性は永住を願っていたが、
ビジネスでトラブルに巻き込まれて失敗。商店の運転手をしながら暮らしていたものの、
母を日本から呼び寄せた後に住宅の立ち退きを迫られ、死の直前まで悩んでいたという。


夢を抱いて移住した日本人4人が死亡したこの事件はニュージーランドでも
大きく報道された。この悲劇がなぜ起きたのか?
長野智子キャスターがニュージーランドで取材。背景に何があったのか、
一連の出来事の深層を追跡するとともに、現地で充実した「第二の人生」を送る人々
から理想と現実の実態について聞く。「海外での第二の人生」の光と影とは…?

<特集2> 731部隊“封印された真実”現地取材 “闇の系譜”に鳥越が迫る

日本の戦史を通じて最大の「闇」というべき存在「731部隊」。
日中戦争のさなか中国東北地方・ハルビン市郊外に作られたこの部隊では、
石井四郎中将のもと旧日本軍の医師たちが、多数の中国人やロシア人捕虜などを
「マルタ」(材木の意)と呼んで生体実験の材料に使い、細菌兵器の研究が行われた。
そしてその研究成果をもとに、旧日本軍は細菌戦を行った疑いが指摘されている。
実際97年に放送した「ザ・スクープ」の取材でも、旧日本軍航空班員が中国都市の
上空で、飛行機からペスト菌を持ったノミを散布したことを認めている。

このように、これまで断片的にしか伝えられてこなかった「731部隊」の実態に
更なる新事実が発見された。中国で発見された関東軍の極秘文書の中にあった
「特移扱」の文字。「防諜」の判が押されたこの文書は、ソ連のスパイとして逮捕した
中国人を「特移」することを決定したものだという。

「特移」とは、731部隊に身柄を送ること。そしてそこには司令官・部長・課長ら
5人の印鑑やサインが残されていた。すなわち、細菌兵器の実験台に逮捕者などを
送ることは、731部隊の独断で行われていたのではなく、当時の軍全体の組織的
関与をもって、行われていたことになる。これを明確に裏付ける可能性のある文書が
見つかったのだ。

番組では鳥越キャスターが、731部隊が活動を行った中国・ハルピンを取材。
この文書に名前があった犠牲者の遺族にインタビューし、さらに現地にいまだ残る
731部隊のつめ跡を辿る。また、国内でも存命する部隊関係者への取材などから、
封印された真実を追跡。そして戦後、731部隊の「負の遺産」というべき研究結果が
どのように扱われ、隠蔽されたのかを、米国立公文書館資料など膨大な資料から検証する。
今なお謎に包まれた「闇」の真相に鳥越が迫る。


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