8月3日放送のディレクターズアイ 

8月3日放送 ディレクター/石井武仁
【検察の裏金疑惑 第3弾 】

前回放送(6月1日)から2ヶ月、第4・第5の内部告発者からの情報提供を期待したのですが名乗りを上げていただける人はいませんでした。そこで私達は『検察の裏金疑惑』を調査するために、全国の検察関係者に緊急の電話アンケートを行った。

番組内で紹介したように「調査活動費の不正流用があった!」と答えてくれたTさんを初め現役の検事正までもが「調査活動費はあるけど不正には使用していない。昔のことは分からないけど20数年前にそんな噂が出たこともあったよ。僕は恩恵にもあずかっていないから詳細は分からないけど、今はない。」と前置きした後で、私が「森山法相は、かつてそのような話(調査活動費)が出たときに十分調査されて事実無根である!と言い切りましたね」と突っ込むと「上は失敗したね。あの会見で、過去にはあったけど今はない!と言えば収まったかもしれないのに…。」と薄々は調査活動費が不正に使用されている事実を知っているような発言をした。そこで私は急遽電話調査での回答で一番当たりの良かったTさんのお宅を訪ねることにした。

最初は突然の訪問に困惑の色を見せたTさんでしたが、わざわざ東京から「来てくれたのだから私の知っていることなら…」と匿名での取材を約束した上で、少しづつ話をしてくれました。「調査活動費とは、本来は検察・警察・公安調査庁などの公安事件で情報収集したときの謝金として支払われるお金。今のご時世、公安事件なんて早々あるものではない。いつからかは分からないけど頭のいい人が調活費を私的に使うことを考えたんでしょうね。」

さらに、そのカラクリは「公安事務課の課長または係長が警察の公安にいって情報を聞いてくる。それに基づいて架空のS(スパイ)をでっち上げる。Sから情報収集をしたことにして総務課長が書類を作成し会計課からお金を引き出し事務局長がプールする。私は総務課長でしたが事務局長に任されてプールしていたお金を少し預かっていた。」とも証言。なんと三井被告が内部告白した手口とピッタリ一致したのです。

また、予算の配分も「全国の中小地検(地方検察庁)には検事正が48人。規模は小さくても高検(高等検察庁)には8人の検事長。そして最高検(最高検察庁)には検事総長が1人。位が上なのはもちろん検事総長ですね。続いて8人の検事長がいて48人の検事正となる訳ですが、事件の多い地検より位の高い最高検の方が年間の調活費の割り当ては多い。」と語った。7月30日に行われた大阪地方裁判所で公訴棄却の申し立てをした三井被告。検察の裏金作りの実態として読み上げた内容の冒頭に「検察庁には調査活動費という予算があります。中小地検では年間約400から500万円、東京地検では約3000万円、大阪地検では約2000万円と、その庁の規模によって予算が示達されます。」とあり、これも三井被告の証言に一致している。ここまで、調査活動費の裏金流用を認めている検察関係者がいても法務省は調査活動費の裏金流用は認めないのでしょうか!?

5月31日付の回答書にあるように「当省としては、検察庁の予算は適正に執行されているものと承知しておりますが、仮に、今後、新たに具体的な私的流用の事実が指摘されたような場合には、必要があれば当然調査することになると思います。」とするのであれば調査をしていただきたいと思います。それとも、私達の取材では『具体的な私的流用の事実が指摘されていない!』として調査をしないのでしょうか!?

レギュラー番組としてのザ・スクープは9月をもって終了しますが、番組内で鳥越キャスターも言っていたように私達はこれからもこの問題に注目していきますし、機会があれば取り上げていきたい!と思っています。

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