厚切りピザトースト×ゴージャスプリンに食欲が止まらない!長年愛される純喫茶「珈琲道場 侍」|「奥森皐月の喫茶礼賛」第2杯

奥森皐月の喫茶礼賛

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「奥森皐月の喫茶礼賛」
喫茶店巡りが趣味の奥森皐月。今気になるお店を訪れ、その魅力と味わいをレポート

指先が冷えるようになってきて、注文はアイスからホットに変わる。

喫茶店に行った写真をまとめたフォルダを開くと、グラスが並ぶ時期とカップが並ぶ時期がくっきり分かれていて少しおもしろい。

変化の多すぎる世の中で、変わらない空間を求めて喫茶店に向かっているのかもしれないと最近思った。

そのなかで、焼きリンゴやホットココアなどの冬季メニューや雪だるまの置物を見ると、小さな変化にほっこりする。

一度見たら忘れられない「珈琲」と「道場」の組み合わせ

今回伺ったのは東京亀戸の「珈琲道場 侍」さん。1978年に行徳でオープンし、30年ほど前に亀戸で引き継がれた、長年愛されているお店だ。

亀戸駅東口を出るとすぐに目に入る「侍」の文字が目印。ずいぶんと前に読んだ喫茶店を紹介する本に載っていて、「道場」「侍」という喫茶店とかけ離れたような単語に心が躍った。

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「〇〇珈琲」「喫茶〇〇」は店名の定番のかたちだと思うのだが、「珈琲」と「道場」の組み合わせは一度見ると忘れられなくなる。

亀戸という土地に行く機会がなかなかなく、このお店にも行けていなかったのだが、今回ようやく訪れることができてうれしい。

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階段で2階へ上がると、やはり侍の字が目に入る。侍という1文字を見ることがあまりないので、たしかにこんな字だなと思いながら扉を開いた。

いきなり驚いた。扉を開けた目前には立派な甲冑(かっちゅう)と水出しコーヒーのドリッパー。まさに侍と珈琲だ。たった一瞬なのにお店の空気感に圧倒されてしまった。

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喫茶店の内装・照明が大好きなのだが、とにかくこのお店はたまらなかった。土壁のような塗り壁で、灯篭(とうろう)風の照明が店内のあちこちにある。

和のテイストが基調とされているが、ダークブラウンのカウンターやソファの席には喫茶店特有の魅力があり、見事なまでに調和した居心地のいい空間となっている。近くにあれば毎日でも通いたいくらいだ。

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チーズも野菜もたっぷり!厚切りピザトースト

ランチセットがあったのでピザトーストのセットを注文。ドリンク・サラダ・ヨーグルトつきで950円というお手頃な価格。

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ちなみに店内に貼られているメニューには「円」ではなく「両」と書かれていた。どこまでもコンセプトが守られている。

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ピザトーストはチーズがたっぷりで、玉ねぎ・ピーマン・ベーコンもしっかりと乗っていてとてもおいしい。厚切りのトーストがふわふわで、しっかりとした食べ応えもあった。

ピザトーストにピーマンが乗っていてうれしいのは大人の証だろうか。おいしさに夢中で、あっという間に食べきってしまった。

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コーヒーも飲みやすいほどよい苦さと香ばしい香りでおいしい。

カウンターにカップとソーサーがたくさん並んでいて、これも素敵だった。今回の私はメリーゴーランドのようなかわいいカップ。

食事のあとでも食べられる、ゴージャスな自家製プリン

そしてもうひとつ人気のものを注文。近くにいらした女性のグループのお客さんもみんなで食べていたのが自家製プリンだ。

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メニュー名はプリンなのだが、このプリンはホイップとフルーツで飾りつけられているゴージャスなプリンだ。

たまごを感じられる少し固めのプリンと、苦味のあるカラメルがホイップによく合う。フルーツのさっぱり感も相まって、こちらもスプーンをすくう手が止まらなかった。

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食事を楽しんだあとでも食べられる。人気の理由がよくわかった。

カウンター席はすべてロッキングチェア!

今回はテーブル席に座らせてもらったが、実は「珈琲道場 侍」にはカウンターにも珍しいものがある。カウンター席はすべてロッキングチェアなのだ。

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取材時はお昼時を少し過ぎたくらいの時間帯だったが、ロッキングチェアの席は常にほぼすべて埋まっていた。落ち着いた空間であのイスに揺られたらさぞかし気持ちがいいだろう。

ちなみにお店は8時から23時(金・土は24時)まで営業しており、カクテルのメニューもある。お酒が飲めるようになったら、あのロッキングチェアでカクテルもいただきたい。

「珈琲道場 侍」のおかげで、亀戸が好きになった

珈琲と侍という珍しいコンセプトが生んだ、どこを探してもない特別な空間。

店内は老若男女を問わずさまざまで、学校帰りのような学生もいた。店員さんも皆様とても素敵な方で、このお店が愛される理由がよくわかった。

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亀戸というと餃子くらいしか知らなかったが、これからは「侍」がある土地という認識になりそうだ。

どの時間に訪れてもそれぞれのよさがあるだろう。どんな人にでもおすすめしたいお店だ。

好きな喫茶店があるとその街も好きになる。次回もまたどこかの喫茶店で。ごちそうさまでした。

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珈琲道場 侍
8時〜23時(金・土は24時まで)日曜は定休日
東京都江東区亀戸6-57-22 サンポービル2階
亀戸駅東口より徒歩1分

文・写真=奥森皐月 編集=高橋千里

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