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ええっ? カナダのカーリングでさえも、こんな努力を?

投稿日:2017年01月04日 20:12

スポーツの普及に苦労しているのは、本場カナダのカーリングも同じ!

 

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1217日、オランダでのスピードスケート取材から戻ってきて軽井沢へ。12月というのに運河が凍らないほど暖かったオランダに比べ、軽井沢の寒いこと寒いこと。会議場となった公園のレストランの裏にある池は薄氷が張り、さらにレストランはほとんど暖房が入っていないという状況で、会議中にコートを着ていなければ震えてしまうほどの寒さでした。

 

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「軽井沢カーリング会議」なるものがカーリングの解説でおなじみだった故小林宏さんの提案で始まって、今年で6回目。小林さんはこれをスポーツ界のダボス会議のようなものにしたいと生前語っていらっしゃいました。カーリングを通してスポーツ全体に及ぶ話のできる会議にしたいとの思いがあったのでしょう。

「小林宏 写真 カーリング」の画像検索結果

故小林宏氏

 

今回も日本各地でカーリングを普及させる過程での問題点などが報告され、どうすれば改善できるかについて話し合われました。そして会議の最後にカナダの普及大作戦の事例が報告されました。

カナダといえばカーリングの本場です。黙っていてもカーリング人口は増えているんだろうと思っていたのですが、現場では、いかにカーリングに人を巻き込むか、どうすれば一度やった人がまた来てくれるかなどをあの手この手で工夫しているのです。それは私にとってかなりの驚きででした。

 

報告を聞いているうちに、この工夫はカーリングだけではなく、他のスポーツや総合型地域スポーツクラブの発展にとっても必要なことだなあと感じ始めたのです。ということで、そのご報告をいたしましょう。

 

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発表して下さったのはエレイン ダグー ジャクソンさん。(画面左側の女性)

1998年長野冬季五輪カーリング日本チームのヘッドコーチをしてくださった女性です。

 

1:カーリングを知ってもらうために。

まず最初に大切なことは、カーリングをやったことのない人に体験してもらうことです。

そのために無料体験会を行っています。カーリングを見つけてもらいやすくするために、グーグルにカーリングができる場所が上位に来るようにウェブを作ることから始めました。初心者が見た時に、「ここを押せばカーリングができる」ような仕組みを作ったのです。

 

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次に大切なことは、カーリングをしに来た人に、熱く語る人の存在です。去年4月に亡くなった小林宏さんは正にそんな人物でした。彼と話していると知らぬ間にカーリングの虜になってしまうのです。

カーリングクラブのマネージャーというのはかつてはクラブを運営する人でした。しかし今ではカーリングをプロモーションする人になっています。

カナダでは元世界チャンピオンがクラブのマネージャーとなり、来る人々に熱く語りかけているのです。

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 2:一度体験した人に続けてカーリング場に足を運んでもらうために。

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カーリングを続ける理由は大きく分けると二つになります。

その1は上達したい人。

その2は楽しみたい人。

この楽しみたい人たちが全体の90%から95%になるのです。その2の人々をどうやってクラブに巻き込んでいくか、ここがポイントとなります。

 

そこでカナダでは「カーリングを始めよう!」というプログラムを作りました。

 

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「楽しい」「安い」「うまくなれる」この3つを基に、10週間のプログラムで、ごく少ないレッスンとそのあと自由に楽しめる構成にしました。今ではこのプログラムは世界のWCA(世界カーリング協会)から認可を受けているそうです。

 

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こうした努力が実を結び、今では2000年ごろに生まれた若者がカーリングにはまり始めてマーケットが広がっています。この世代はいろんなものに興味があるのであっちへ行ったりこっちへ来たりですので、より楽しめる工夫が必要です。親の言うことをそのまま聞く世代ではないので、独自の方法が必要です。大会ではない新しいゲームが求められました。

 

そこで4人一組で2グループで競う従来のカーリングではない形が作られました。

待っているのが嫌な世代です。

 

二人でやってきた人には、シングルスと言って1対1で対戦させます。

二人でやってきた組が2組あれば、ダブルスと言って22で対戦させます。

33のトリプルスもあります。

エンドごとにポジションを変えていく方法もとられます。

ショートカーリングと言って、これまでの距離の半分で行うものも作りました。

20人が一度にカーリング場にやってきたら、全員で遊べるように、1エンド終わると隣のシートに移って全員でローテーションして対戦相手が変わる仕組みも作りました。こうすればその日集まった人、全員と対戦できるのです。

 

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また、野球など夏のスポーツをしているグループに「冬にカーリングをしない?」と誘うことも忘れません。

 

カーリングにやってくる人の目的はカーリングそのものを楽しむのと同時に社交もあります。そこで、20ドルでビールとハンバーガーが食べ放題というサービスも作りました。

カナダのカーリング場すべてにバーがあります。カーリングの後、ワインを飲むのが楽しみという方がほとんどです。試合で勝った人が、負けた人に一杯おごるという習慣があるのです。

 

全てのカーリング場にバーがあると聞いて私はびっくり!

日本の公共のスポーツ施設ではアルコール類が禁止されているところがほとんどで、飲食も許されないところがあります。日本でもこうした施設を作るときに、人はスポーツ+αで来るという原点を考えてもらえるとうれしいですね。

 

「昔と違って、みんなに時間がたくさんあるわけではありません。カーリングを人々に合わせる努力をしなければならないのです。」と力強く語るエレインさんの思考の柔軟性がとても素敵でした。

 

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2020年の東京オリンピックパラリンピックを前に、スポーツの普及振興が語られていますが、「スポーツはみんなが楽しく生きていくためのツールの一つ」という原点をもう一度考えてみる必要がありそうですね。

 

<筆者>

テレビ朝日スポーツコメンテーター宮嶋泰子

これまで1980年のモスクワ大会からオリンピックの取材を始め、
リオデジャネイロが18回目の現地取材となる。

担当番組:報道ステーション スポーツ特集 ディレクター兼リポーター
BS朝日 ザ・インタビュー~トップランナーの肖像~ インタビュアー

日本女子体育大学招聘教授

順天堂大学客員教授

公益社団法人日本バレーボール協会理事
公益財団法人日本新体操連盟理事
NPO法人バレーボール・モントリオール会理事
NPO法人国連UNHCR協会理事

 

 

 

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