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新国立競技場について遠藤オリ・パラ担当大臣とお話をしました。

投稿日:2015年08月25日 15:32

新国立競技場について、2020東京オリンピック・パラリンピック担当の遠藤大臣がさまざまなジャンルの方とお話をされています。

8月19日に私も内閣府に呼ばれて、ヒアリングを受けました。

遠藤大臣と

「2000億円以内で作れるものを」などと、当日、私の前にお話をされたサントリーホールディングス㈱取締役社長の新浪剛史さんはおっしゃったようです。

私に経済的なことなどわかるわけもなく、予算に関しては「税金なのであまり贅沢なことや無駄なことはしないでほしい」と言える程度ですが、唯一、私が他の方よりもわかることがあるとすれば、これまで冬と夏のオリンピックを17回経験し、様々な国際大会で海外に行って多くの競技場を見てきているという点だと思います。そこで、その観点からお話をいたしました。

これまで海外出張で撮りだめてきた写真をお示ししながらお話をさせていただきました。

 

その1:入って気持ちがよいもの。

最初にお話をしたのは、競技者にとって良い競技場であることは当然ですが、同時に、観客にとっても気持ちよい場所であってほしいという点です。

特に旧国立競技場は女性アスリート用のトイレが少なかったり、観客のトイレも心地よいものではありませんでした。アスリート用のシャワーやロッカールームなども相当数しっかり完備してほしいというのは言うまでもないことです。

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次に、フィンランドのヘルシンキの陸上競技場の写真をお見せしました。1952年のヘルシンキオリンピックに使われ、その後1983年、2005年の世界陸上でも使われた競技場です。日本の旧国立競技場にも似た作りですが、これを見るたびに、すでに遅きに失していますが、壊すんじゃなかったと思うのは私だけではないでしょう。

シンプルなものを長く使う、歴史あるものを大切に使う発想は、もっと大事にしてほしかったところです。これから作る競技場もシンプル イズ ベスト となるといいと思っています。

さて、観客席の最前列にご注目ください。このスタジアムも、競技場レベルと観客のレベルの高さの差がそれほどありません。

ロンドンオリンピックのスタジアムも同じです。

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トラックやフィールドで行われる競技を同じ目線のレベルから見られることは、迫力や臨場感の点からも申し分ないことは言うまでもありませんが、これは選手にとってもエキサイトできる条件だと聞いたことがあります。

かつて棒高跳びのブブカが、観客席が近い会場だと、やる気が起きると話していたことがあります。

旧国立競技場は最前列がフィールドより2メートルほど高い位置にありました。選手と観客の距離が遠い競技場だったのです。新しいものは選手と観客の距離が近い競技場であってほしいと思っています。

余談ですが、ロンドンオリンピックのこの写真は、朝9時過ぎに撮影したものです。予選の時から、こんなにたくさんのお客様が入っていたのです。2020年の競技場がこうなることを祈るばかりです。

 

 

こちらは、2008年の北京オリンピックが行われた鳥の巣です。

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北京オリンピックの開会式は本当につらかったです。暑くて暑くて・・・半屋根で覆われた競技場は風もなく、ただ座っているだけで異常に蒸し暑く、頭がくらくらし、拷問のように感じた覚えがあります。近くに座っていたセネガルの方が、「こんな暑さは体験したことがない!人生で最悪」と話していたことを思い出しました。

競技が行われるときは風は無用なのですが、開閉会式などのときには、観客席に風の通り道を作ってほしいというのは強くお願いしておきました。8月の東京は北京よりも暑いかもしれませんから。

飛び込み会場などで足元からミストが出てくる仕掛けの競技場もありますが、小さな会場ならばできますが、陸上競技場では望むのは難しいでしょうね。

 

また、デザインで問題になっていた屋根についてです。

競技場全体を覆う屋根があることで、芝が育ちにくくなり、さらにコンサートなどを行うと、芝が破壊されてしまいます。

個人的には競技場はスポーツのために使っていただきたいと思っています。

また、陸上競技ファンとしてはサブトラックは是非作ってほしいと思っていますが、大臣室で説明を受けたところによると、ここは明治神宮の土地なので、「元通りに戻していただきたい」という条件で仮設で作るしかないとのことでした。そういう縛りがあるのであれば、致し方ないのかなと思ったりしています。

ただ、サブトラックに関しては、秩父宮ラグビー場の周りにトラックを作り、それをサブトラックにすればという案が急浮上してきていると聞きました。

それができるのであれば、選手はサブトラックからメイン会場まで、少しばかり歩くことになりますが、良い案だろうなとは思います。

スタジアムに商業施設やVIPルームをたくさん作るという案もあるようですが、個人的にはあまり賛成できません。商業施設などは仮設で対応できればよいのではないかと思っています。ロンドン五輪では競技場の周りに仮設の商店が立ち並んでいました。小さな白いテントがぐるっと競技場を取り巻いているのがご覧いただけると思います。

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その2:人間にやさしいスタジアム

スポーツに参加する女性は圧倒的に増えてきました。このところのオリンピックの日本選手団では女子選手のほうが男性よりも多いくらいです。選手が増えれば審判など、女性の競技役員やボランティアも増えてくることでしょう。

そうした人たちが子供を預けられるキッズルームをぜひ作ってほしいとお願いしました。

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写真はフィンランドのラハティーにあるスキーのジャンプとクロスカントリー用のスタジアムです。この時、ワールドカップの試合が行われていたのですが、なんとその最中に、スタジアムの地下には、子供たちのためのキッズルームが設けられており、預けられた子供たちが様々な運動遊びをしていたのです。

地下にある多目的スペースが、ボランティアたちの休憩場や食堂になり、さらに、キッズルームになっていくこのスタジアムの構造には本当に驚かされました。雪深い土地柄だけに、大会が行われていない時でも、子供たちを遊ばせるのにも使えそうです。

この写真を見せながら、スポーツにキッズルームや託児所は今後は必要不可欠になるとお伝えしてきました。

 

障がいを持つ人たちのためにも、優しいスタジアムであってほしいと思います。もうこれは今の時代当然ですね。オリンピックの後、パラリンピックが行われるのですから。

遠藤大臣から障がいを持った人のためのトレーニング施設に関する質問がありました。

私は1991年頃からニュースステーションで障がい者スポーツの特集を作ってきましたので、選手たちから聞いてきたお話をお伝えしました。

可能であれば、障がい者だけが使える施設ではなく、一緒に使えるものを作ってほしい。そのほうが共生のためによいという意見です。

 

また、ロンドンオリンピックの体操会場で私が目を丸くしたマークをお見せしました。

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赤ちゃんのおむつを替える部屋が男性用のトイレの横にあるマークです。

当時は日本で、今ほど育メンが流行していませんでした。

遠藤大臣も「いやあこれは驚きだねえ。日本にはそういう習慣がないからねえ。私なんて全然・・」とおっしゃっていました。

これからは日本もこのマークが示す時代に入っていくでしょう。

 

3:2020東京オリンピック・パラリンピックのレガシー みんなで運動やスポーツの楽しさを共有できる環境を

大会関係者はオリンピックで日本がメダルをどれだけ取れるかという点にばかり気にかけているようですが、2020年の東京大会が終わった後、日本の国民がスポーツをすることの素晴らしさや運動をする楽しさを実感し、より多くの方がスポーツを楽しんでいくようになることが、大会のレガシー(遺産)として最も大切なことではないかと私は思っています。

運動やスポーツを通じてアクティブな生活を送ることができれば、膨大に膨らむ医療費削減の一助にもなると思うのです。

そこで、大会後、競技場の周辺が自転車やウォーキング、ジョギングのメッカになっていくといいなあと感じています。

これもフィンランドの写真ですが、ウォーキング用とサイクリング用の道が分けられている道をお示ししました。この環境は実に素敵でした。もちろん自動車が通る道路は別にあります。

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その4:そのスタジアムの歴史が感じられるもののスペースを。

どこのスタジアムにも、そのスタジアムの歴史が感じられるスペースがあります。旧国立競技場にも秩父宮記念博物館と図書館がありました。このような施設をぜひ残してほしいというのも私の要望です。

 

その5:和のテイストを入れてほしい。

日本を表現する手段はいろいろとあります。モダンな建築の中に、何か和を感じさせてくれるものを入れてほしいと要望しました。来訪者が思わず足を止めるような場所です。ちなみに写真は和紙で作られているものです。

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その6:競技場はだれのもの?

世界的な大会に参加する競技者だけではなく、みんなに開放される時も作ってほしいと思っています。

「聖地なのだから、みんなが入る場所ではない」というのは古い考え方のように思います。

今はハレとケがなくなってきた時代です。以前はお餅をいただくのはお正月だけという感覚でしたが、今はお鍋をするときはお餅を入れるのが自然になってきています。

スポーツも一部のエリートが行うだけではなく、だれもが行えるものになってきています。90歳100歳の高齢者も競技会に参加する時代です。

スポーツ全体を見ると、行う人だけでなく、支える人、見る人、みんなのためのスタジアムという発想が必要だと思います。

 

その7:オリンピック後、民間に管理を委託するという案について。

もしそうせざるを得ないのであれば、市民に開放して使ってもらうような時を入れることを条件に、業者選定をすべきだとお伝えしておきました。

税金で作ったものです。その税金分が国民に還元される方法を探るべきだと思うのです。

民間に委託して商業的に使用されることには基本的には賛成できません。

使用写真DSC00981

このほかさまざまなお話をしましたが、私が海外の競技場を見て感じてきたことはお伝えできたように思います。

こうした考えが少しでも反映された競技場になることを祈っています。

 

 

 

 

 

 

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