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人は何のためにスポーツをするのか? 女子長距離選手悲哀物語

投稿日:2016年06月29日 17:35

人は何のためにスポーツをするのでしょう?

 

国のためにメダルを獲る?

優勝して母校のために尽くす?

親を喜ばせるために?

自分の夢を実現するために?

 

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リオデジャネイロオリンピック女子マラソン日本代表選手田中智美選手を育てた山下佐知子監督は、「ゴールした時に笑顔でいられるようにしてあげたい」と言います。

もちろん、実業団の「第一生命グループ女子陸上競技部」を率いていくのですから、中途半端なお楽しみスポーツであってはいけません。結果が求められるのも事実です。

しかし、この結果はどうすることによって生まれるのでしょうか。

 

この2年ほど、女性のスポーツ環境について学びながら、思ったことがあります。

「女性の身体は実に微妙でデリケートにできている。将来の女子選手を預かる指導者はよっぽどそのことを理解しながら、適切な指導をしなければ、その選手の人生を壊してしまうことになりかねない」と。

 

過度な運動量とエネルギー不足によって無月経になってしまう選手がいることはようやく一般にも知られるようになってきました。しかし、その対策については、まだまだ男性指導者の中にはただおろおろするばかりの人もいますし、反対に、「そんなことは自分には関係ない。月経があるということはまだまだ練習が足りない証拠だ」と平気でのたまう人もいます。

無月経をそのままにしておくと、老婆の骨と同じようになり、骨粗しょう症を起こすことにもなります。

 

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さらには、今回、(6月30日土曜日報道ステーション放送予定)特集で取り扱う内容のように、身体に悪影響を及ぼす鉄剤を、大事な大会の前に強制的に注射で血液に注入させる指導者もいます。

鉄剤注射の問題は30年ほど前からも行われていたという人もいます。最初は貧血を治すために行っていたのが、いつしか、鉄剤注射をすることで走れるようになると学習してしまった指導者が、生徒に強制的に打たせる風潮が出てきたと言います。

中高生の女子選手で、毎日体重計に乗らされて、満足な食事もせず、何枚も汗を出すためのウィンドブレーカーを着こんで体重を減らし、そして鉄剤注射をする、そんな選手たちがインターハイや高校駅伝で優勝する・・・それは幸せなことでしょうか。

最近、国際大会に派遣するために、初めてジュニア選手の血液検査をした日本陸上競技連盟が、血液中の鉄の多さに驚いたと言います。

鉄は男女差があって男は100ナノグラム程度。女性は30~40ナノグラムが平均です。ところが、今回、はっきりとわかったのは、ジュニアのトップクラス20人ほどの平均値がなんと、90ほどになっていたのです。中には500を超えたり、800という数値の選手もいたそうです。ちなみに日本のトップアスリートの中長距離の選手たちでも30~40。それから比べると、ジュニアの選手たちのその値は異常に高いことがわかります。

 

これに対して、日本陸連医事委員長の山澤文裕医師は、「おそらく鉄剤注射を頻回にやって、身体の中に鉄が過剰状態になってしまったのではないか」と話します。

 

こうした選手の身体は、心臓や肝臓、膵臓などの内臓や筋肉に鉄が沈着して、線維化をおこし、健康とは言えない状況を生んでいきます。

そんな身体では実業団に入って専門的に陸上競技を行ったとしても、世界と戦える選手に成長することは不可能と言ってもいいでしょう。

 

何のためにスポーツをするのか、競技スポーツは身を削りながら行うものですから、健康になるためのスポーツではないことは確かです。

しかし、指導者のエゴで、選手が犠牲になっているとしたら、さらには、親まで鉄剤注射をして来いと勧める現実があるとしたら、これはもう、今さえよければ、何をしてもいいという不幸な近視眼的指導と言わざるを得ません。

 

自身が1991年世界陸上東京大会の女子マラソンで銀メダルを獲得し、これが引き金になって有森裕子、高橋尚子、野口みずきらの五輪メダリストが生まれてきたことを考えると、山下佐知子監督が目指す、女性の身体をしっかり考えながらの指導の重要性が、今、最も求められていることがわかると思うのです。

 

是非、明日、6月30日、テレビ朝日の報道ステーション(22時40分ごろから)をご覧ください。

 

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<筆者>

テレビ朝日スポーツコメンテーター宮嶋泰子

これまで1980年のモスクワ大会からオリンピックの取材を始め、
リオデジャネイロが18回目の現地取材となる。

担当番組:報道ステーション スポーツ特集
BS朝日 ザ・インタビュー~トップランナーの肖像~

 

日本女子体育大学招聘教授
公益社団法人日本バレーボール協会理事
公益財団法人日本新体操連盟理事
NPO法人バレーボール・モントリオール会理事
NPO法人国連UNHCR協会理事

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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