2014年01月19日 09:30

 こんにちは。“題名舞台裏ウォッチャー”キャンディーです。お正月気分もすっかり抜けた頃ですが、昨日よりセンター試験が始まりましたね。受験生の皆さんはいよいよ正念場ですが、風邪などひかずに頑張ってください!

 さて今日の放送は、偉大な日本人作曲家・演奏家の業績を後世まで語り継ぐ「日本の巨匠」シリーズの6回目で、特撮映画「ゴジラ」の作曲でおなじみ作曲家の伊福部昭(いふくべ・あきら)さんを取り上げました。今年は伊福部さんの生誕100年を迎えるアニバーサリー・イヤーにあたり、年明けから一般紙でも一面を割いて特集を組まれるほど、注目を浴びています。
 伊福部さんの作品は今日の放送でお聞きして頂いた通り、どの作品も民族的で、一度耳にしたら離れない個性の強い音楽です。それは幼少期に父親の仕事の関係でアイヌ民族音楽に慣れ親しんでいたからという理由もありますが、それ以上に伊福部さんの「哲学」によるところが大きいように思えます。
 伊福部さんはものすごい読書家だったらしく、作曲のレッスンも8割はおしゃべりで、主に「老子」の教えを例えに作曲活動にとって大切な精神を説いていたそうです。その一つが「無為」。切り花でなく、大地に咲く花となる作品を書くようお話しされていたとか。
 また、西洋音楽を学ぶ者の間では当然のことながらヨーロッパ至上主義となっていたところ、「本当のインターナショナルとは自国の文化を超えて初めて言える」と説き、作曲を勉強するのにも「アジアからヨーロッパの間の地域を勉強しないといけない」と教えており、常に「自分は何者か?」と「日本」を意識することに重点を置いていたようです。
 そのような精神をお持ちの伊福部さんが、21歳の時に独学で書いた「日本狂詩曲」は、パリの音楽界に「行き詰った西洋音楽を突破できるのは、こういった東洋の音楽だ!」と衝撃を与えました。またその後の日本の作曲界を牽引する黛敏郎・芥川也寸志・團伊玖磨といった作曲家を育て、そしてほぼ日本人作曲家すべてがお世話になったといっても過言でない“オーケストラの書き方”教本「管絃楽法」を執筆したのです。

 伊福部さんの遺した教えは、音楽のみならずすべてに言えますね。自分だからできる事に誇りを持ちたいです。

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