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アニメ・特撮音楽を築いた巨匠 渡辺宙明の音楽会

投稿日:2022年07月16日 10:30

今週は今年6月23日に96歳で世を去った渡辺宙明さんを追悼し、その名曲の数々をお届けいたしました。「秘密戦隊ゴレンジャー」や「野球狂の詩」「マジンガーZ」などなど、本当に名曲ぞろいで、今聴いても胸が熱くなります。音楽がそれぞれのヒーロー/ヒロイン像にぴたりとマッチしているんですよね。
 「秘密戦隊ゴレンジャー」は特撮戦隊シリーズの草分け。それまでのヒーローはひとりで敵と対決していましたが、この番組では5人で戦隊を組んで敵と戦う新たなヒーロー像が打ち建てられました。オープニングテーマの「進め!ゴレンジャー」、エンディングテーマの「秘密戦隊ゴレンジャー」、どちらも耳なじみのよい名曲ですが、特に後者の「バンバラバンバンバン……」はインパクト抜群。このようなスキャットの活用は「宙明サウンド」の大きな特徴になっています。
 「野球狂の詩」の「チュチュチュ」もかなり意外性のあるスキャットだったと思います。このアニメは女性プロ野球選手の誕生という斬新なストーリーを描いているわけですが、それだけに歌詞のないスキャットのみの型破りな主題歌がよく似合っていたのではないでしょうか。
 渡辺宙明さんがスキャットの着想源として挙げていたのがスウィングル・シンガーズ。パリで結成された8人編成のアカペラ・ヴォーカル・グループです。バッハの平均律クラヴィーア曲集や管弦楽組曲のような名曲を、スキャットによりジャズのスタイルを取り入れて歌うというアイディアで一世を風靡しました。「ダバダバ……」とスキャットで歌われるモーツァルトの交響曲第40番などもありました。BGMで耳にしたことがある方も多いことでしょう。
 それにしても「鋼鉄ジーグのうた」でこれほどまでにスキャットが多用されていたとは。「ダンダダダン」や「バンバンババン」と濁点の連続で力強く畳みかけてきます。「ハニワ幻人」など一蹴してしまいそうな迫力がありましたね。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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