• mixiチェック

ドアの向こうの音楽会 ~夏~

投稿日:2021年07月03日 10:30

旅行をしたい。そんな思いを募らせている方も多いことでしょう。今週は音楽と絶景を組み合わせた「ドアの向こうの音楽会 ~夏~」。この曲はこんな場所で演奏したいという音楽家たちの願いが仮想空間で実現しました。
 村治佳織さんが演奏したのはアンドリュー・ヨークの「サンバースト」。サンバーストとは雲間をついて急に差し込む強い日差しのこと。まさにカリフォルニアのビーチにぴったりの爽快な音楽でした。村治さんのギターが、心地よい風を運んでくれるかのよう。
 クロマチックハーモニカの山下伶さんとアコーディオンの吉岡りささんは、セーヌ川が流れるパリで、ミシェル・ルグランの「キャラバンの到着」を共演。映画「ロシュフォールの恋人たち」に用いられた曲で、テレビCMなどにも使用される人気曲です。ハーモニカとアコーディオンの音色がパリの街並みと調和して、旅情をかきたてます。
 バーンスタイン作曲の「ウエスト・サイド・ストーリー」より「マリア」を夜のニューヨークのタイムズスクエアで歌ってくれたのは、バリトンの大西宇宙さん。オペラやオーケストラとの共演など、現在国際的に活躍する新世代のスターです。クラシック音楽ではどうしてもイタリア語やドイツ語のレパートリーが中心になるため、日本人歌手の多くはヨーロッパに留学するのですが、大西さんはニューヨークのジュリアード音楽院で学んで、アメリカのオペラハウスで実績を積んでいます。バーンスタインを歌うのにこれほどふさわしい人もいません。伸びやかで、深くて温かみのあるしよ声がすばらしかったですね。
 宮田大さんは夜の満月が見える湖畔で「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」を演奏。そういえばこの曲は「新世紀エヴァンゲリオン」テレビアニメ版のエンディングテーマだったんですね。野外でチェロを聴く機会はなかなかありませんが、月夜のしっとりとしたムードにチェロの音色がよく似合っていました。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

  • mixiチェック
コメントはこちらからどうぞ

ニックネーム
コメント

※必ず注意事項をお読みの上、送信して下さい。

フォトギャラリー

フォトギャラリーを詳しく見る≫