• mixiチェック

一流の音楽家が夢のマッチング ドリーム・デュオ第5弾

投稿日:2021年04月03日 10:30

今週は好評のドリーム・デュオ企画、第5弾。日本を代表するトップレベルの奏者たちが、斬新な組み合わせによるデュオを披露してくれました。
 近年、協奏曲やリサイタルで大活躍中の気鋭のヴァイオリニスト、辻彩奈さんが共演を熱望したのは、「色っぽいギターを弾く」という大萩康司さん。クラシック音楽ではもっぱら主役を務めるヴァイオリンと、さまざまな民族音楽をはじめあらゆるジャンルで用いられるギターでは、あまり共演機会はありません。ところが、この両者の珍しいデュオのためにパガニーニが曲を残しています。パガニーニといえば「悪魔に魂を売った」と噂されたほどの超絶技巧で知られるヴァイオリニスト。その作品の大半は技巧的なヴァイオリン曲ですが、実は彼はギターも嗜み、ときにはギターの奏法をヴァイオリンに応用することもありました。一世によればギター奏者の愛人がいたため、ギター曲を書いたといいますが、なるほど、この「カンタービレ」は甘美でやさしさにあふれています。
 ピアソラの代表作「リベルタンゴ」を演奏してくれたのは、ホルンの福川伸陽さんとバンドネオンの三浦一馬さん。ホルン自体、デュオを聴く機会のまれな楽器ですが、バンドネオンとのデュオは前代未聞かもしれません。福川さんのホルンのまろやかな音色と、三浦さんのバンドネオンの明るくシャープな音色が組み合わさって、絶妙な味わいが生み出されていました。タンゴの革命児と呼ばれたピアソラは、今年生誕100年を迎えます。ピアソラの音楽はタンゴの世界にとどまることなく、あらゆる楽器で演奏されていますが、また新たな可能性が開かれたように思います。
 最後は伊賀拓郎さんのピアノと伊波淑さんのラテンパーカッションによる、幼なじみデュオ。まさか「さくらさくら」が、こんなに楽しい音楽になるとは。歯切れよくスピード感にあふれた「さくらさくら」は新鮮でした。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

  • mixiチェック
コメントはこちらからどうぞ

ニックネーム
コメント

※必ず注意事項をお読みの上、送信して下さい。

フォトギャラリー

フォトギャラリーを詳しく見る≫