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ジャンルを超えて!和太鼓と夢の共演~ドリーム・デュオ

投稿日:2021年03月20日 10:30

若い演奏家たちから共演のオファーが次々と舞い込んでいるという林英哲さん。今週は林英哲さんがふたりの若手奏者と共演する異色のデュオをお届けいたしました。
 和太鼓が西洋楽器とデュオを組むことはきわめてまれなこと。どんなレパートリーがあるのか、記憶をたどっても思い当たる曲がありません。今回、林英哲さんと共演したチェロの新倉瞳さんと、サクソフォンの上野耕平さんは、それぞれ新曲を作曲家に委嘱してデュオを実現しました。
 新倉さんが演奏したのは和田薫さん作曲の「巫(かんなぎ)」より。先頃、すぐれた若手チェリストを表彰する齋藤秀雄メモリアル基金賞を受賞した新倉さんですが、デビューが早かったこともあり、今年デビュー15周年を迎えます。チャレンジ精神の旺盛な新倉さんは、この15周年を機に委嘱作品を集めて世界初演を行うコンサートを開きました。「巫」はその際に初演された一曲。巫とは神霊と交わる巫師、シャーマンのこと。祈祷を思わせるチェロの旋律に、英哲さんの神楽鈴と素手で叩く太鼓のリズムが加わると、名状しがたい厳粛な雰囲気が立ち込めます。活発な部分でのチェロと太鼓の応酬も聴きごたえがありました。新倉さんが神楽鈴を鳴らす場面にはびっくりしましたね。
 上野さんは、ロンドンを拠点とする作曲家、藤倉大さんにサクソフォンと太鼓のための「ブエノ・ウエノ」を委嘱しました。藤倉さんはヨーロッパの第一線で大活躍中の作曲家。ザルツブルク音楽祭やルツェルン音楽祭、BBCプロムスなどからも作品を依頼され、昨年は東京の新国立劇場で新作オペラ「アルマゲドンの夢」が世界初演されました。そんな藤倉さんの「ブエノ・ウエノ」は、日本的なようでもあり無国籍風でもあり、古代の儀式を連想させつつも現代の都会的な感覚も息づいているという、複雑な味わいを持った作品でした。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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