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打楽器奏者の秘密を知る休日

投稿日:2021年03月13日 10:30

今週は和太鼓、ロックドラム、ラテンパーカッションという、ジャンルの異なる打楽器奏者のみなさんにお集まりいただきました。林英哲さん、真矢さん、伊波淑さん、それぞれまったく異なる種類の打楽器なので、はたして共演が可能なのだろうかと思いきや、最初の「一番太鼓」から、ひとつに溶け合った音色が聞こえてきました。
 三人のお話を聞いていると、打楽器奏者は音楽家のなかでももっともアスリート的な存在だと感じます。林英哲さんが言うように「演奏自体が筋トレ」。腕の筋肉がすごい! 太鼓の叩き方を真矢さんに教える場面がありましたが、ダイナミックな構え方からして、スポーツ選手のフォームのようです。アイシングの話など、肉体的なケアに気づかうところもやはりアスリート的です。
 おもしろかったのは伊波さんによるコンガの叩き方についての解説。本場のキューバ人奏者たちが腕を叩きつけるように振り下ろすのに対し、日本人は手首のスナップを使った叩き方が合っていると言います。よく海外のクラブに移籍した日本人サッカー選手が、フィジカルの強さで競うよりも、日本人のアジリティを生かしたプレイで勝負するといった話がありますが、それに一脈通じるところがあると思いました。
 最後に3人で演奏したのは、「運命」~打楽器スペシャルセッション。あのベートーヴェンの交響曲第5番「運命」を打楽器だけで演奏してしまおうというチャレンジでした。「運命」で全曲にわたってくりかえし登場するのが、「運命の動機」として知られる「タタタターン」のリズム。打楽器だけで演奏しているにもかかわらず、なんと、ちゃんとメロディが聞こえてきます! 各々の打楽器がソロを披露する様子は、まるで協奏曲のカデンツァのよう。このパッションはまさにベートーヴェン。打楽器の表現力の豊かさを痛感しました。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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