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『ニュー・シネマ・パラダイス』を作ったエンニオ・モリコーネの音楽会

投稿日:2020年10月03日 10:30

今年7月6日、イタリアが生んだ映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネが、91歳で世を去りました。長きにわたって映画の音楽を作曲してきたモリコーネだけに、その作品数は膨大です。「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」「ニュー・シネマ・パラダイス」「海の上のピアニスト」などなど、挙げればきりがありません。
 なかでも名曲の誉れが高いのが、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の「ニュー・シネマ・パラダイス」。シチリアの小村を舞台に少年と映画技師との交流が描かれます。モリコーネの音楽は物語にふさわしく強烈なノスタルジーを喚起しますが、映画を離れて純粋に音楽だけを聴いても、やはりしみじみとした郷愁を感じさせます。モリコーネの音楽と宮田大さんの温かみのあるチェロの音色がとてもよくマッチしていました。
 「マカロニウエスタン・メドレー」では、口笛、口琴、トランペットといった楽器の使い方から、モリコーネの創意工夫が伝わってきました。原田さんのお話にもあったように、クラシック音楽ではよくトランペットが祝祭感を出すための楽器として用いられます。歴史的に軍楽隊の楽器だったトランペットは、華やかなファンファーレの効果をもたらします。でも、モリコーネはトランペットに哀愁を帯びたメロディを奏でさせました。モリコーネ自身、プロの奏者だった父親からの影響でトランペットを吹いていましたから、楽器への思い入れもあったことでしょう。
 「ガブリエルのオーボエ」は映画音楽の枠を超えた新時代の名曲です。もともとは南米におけるキリスト教の布教活動を描いた映画「ミッション」で使われたものですが、今では映画本編よりもこの曲のほうが親しまれているのではないでしょうか。オーボエ奏者はもちろんのこと、さまざまな演奏家がこの曲をアレンジしてレパートリーに加えています。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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