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東北を奏でる音楽会

投稿日:2019年05月11日 10:30

今週は先週に続いて、坂本龍一さんと東北ユースオーケストラのみなさんにご出演いただきました。東北ユースオーケストラはさまざまな個人や団体の支援によってなりたっています。吉永小百合さんもこのオーケストラを応援するひとり。吉永小百合さんの朗読と坂本龍一指揮東北ユースオーケストラが共演する場面がありましたが、朗読と音楽が絶妙のバランスでひとつに溶けあっていたのが印象的でした。曲は坂本龍一作曲の Still Life 。もともとは2009年のアルバム「アウト・オブ・ノイズ」中の一曲で、ヴィオラ・ダ・ガンバによるイギリスの古楽アンサンブル、フレットワークと共演した楽曲です。こうしてオーケストラ・バージョンで聴くと、柔らかくやさしい響きがいっそう引き立ちます。
 ロンドンを拠点に活躍する作曲家、藤倉大さんは、このオーケストラのために Three TOHOKU Songs を作曲しました。藤倉さんといえば、著名演奏家や音楽団体から次々と新作の依頼が舞い込む世界的な作曲家。近作のオペラ「ソラリス」はフランスやドイツなど各地のオペラ劇場で上演され、昨年は東京でも演奏会形式で日本初演されて話題を呼びました。自由な発想により新鮮味のあるサウンドを聴かせてくれる藤倉さんですが、今回のような日本の民謡を題材に用いた作品には意外性があります。東北の民謡が、新しい音色とハーモニーに彩られた21世紀版の民謡として生まれ変わりました。カッコよかったですよね。
 仙台市出身の作曲家、仁科彩さん作曲の「くぐいの空」は、くぐい(=白鳥)が題材となった曲。ラヴェルやリヒャルト・シュトラウスを思わせるような緻密で色彩感豊かなオーケストレーションに、東北の白鳥のイメージが加わって、独自の世界が生み出されていました。白鳥の描写を通して、人と自然の共生へと思いを巡らされるような、みずみずしく壮麗な作品だったと思います。

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