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新時代を切り開いた作曲家ドビュッシーの音楽会

投稿日:2018年04月07日 10:30

今週は没後100年を迎えたフランスの作曲家ドビュッシーの魅力に迫りました。まったく独自の形式、ハーモニー、色彩によって、20世紀音楽の礎を築いた作曲家ドビュッシー。その革新性は「後世の作曲家でドビュッシーの影響を受けていない者はほとんど見られない」(ニューグローヴ世界音楽大事典)と言われるほど。「亜麻色の髪の乙女」のような作品は、今やテレビCMなどでも使用されるほど広く親しまれる名曲になっていますが、その響きの性質や柔軟なリズムはそれまでの古典的な音楽とは一線を画しています。
 ドビュッシーの音楽にはさまざまな特徴がありますが、異国趣味もそのひとつ。本日お聴きいただいたピアノ曲集「版画」第1曲「パゴダ」(塔)からは、ガムラン風のアジア的なムードが漂ってきます。ちなみにこの曲集の第2曲は「グラナダの夕べ」で、スペイン趣味が反映されています。以前、番組で交響詩「海」を取りあげた際には、スコアの表紙に葛飾北斎の浮世絵が使用されているといった日本趣味についてご紹介しました。「子供の領分」の第6曲「ゴリウォーグのケークウォーク」はアメリカ風。ドビュッシーの視野はとても広いのですが、素材はあくまで素材にすぎず、そのすべてに彼ならではのオリジナリティが発揮されています。
 最後にお聴きいただいた「花火」は、前奏曲集第2巻からの一曲。ピアノ一台の曲なのに、色とりどりの花火が目に浮かぶような色彩感が伝わってきます。ドビュッシーの作品には、光や波、水、風など、不定形で時々刻々と変化する現象を題材にした曲が多いですよね。ちなみこの曲のおしまいの部分で、さりげなくフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」の断片が登場するのに気づかれたでしょうか。この曲はフランス革命記念日の情景を描いたものと言われています。先週の「ワールドカップの音楽会」でご紹介した国歌の名作がこんなところにも。

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