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2026年8月29日葉月の伍

山口・山口市名田島
~おいでませ 田園のごはん屋さん~

舞台は山口県の山口市名田島。妻の故郷に移住し、ごはんと新鮮野菜が自慢の『名田島食堂』を開いた伊藤啓子さん(52歳)と夫の博明さん(52歳)が主人公です。
山口市名田島の兼業農家で育った啓子さん。両親が夜遅くまで働いていたため、小学生の頃から家族の食事を作っていたことが料理好きになる原点でした。次第に「いつか、ごはん屋さんをやりたい」という夢を抱くようになったそう。しかし、その夢は心にしまったまま、大学卒業後は、地元の大手アパレル会社に就職。すぐ埼玉の店舗に配属され、その後、東京の商品企画の部署へ。海外出張なども任されて働き詰めの日々を送っていました。一方、東京都出身の博明さんも、大学卒業後、アパレル会社に就職。その後、啓子さんが勤める会社へ転職したことが2人の出会いのきっかけでした。同い年の同僚として意気投合し、仕事の悩みや将来のことを相談するうち距離が近づいていきましたが、ちょうどその頃、啓子さんにある転機が…。会社の健康診断で手術が必要な病気だと判明したのです。家族のサポートを受けられる名田島に帰省し、療養することにした啓子さん。そして入院中、「この先もずっと東京でアパレルの仕事と一人暮らしを続けるのか、このまま故郷に残り別の仕事を始めるべきか」と、自らの生き方について考えたそう。そして、退院して実家へ戻る帰り道、空に虹がかかる名田島の風景を眺めた時、故郷の良さに改めて気付かされます。そして、子どもの頃の夢を思い出し「ごはん屋さんを開きたい」と考えるように。啓子さんから名田島へUターンすることを打ち明けられた博明さんも、啓子さんを支えようと移住を決意。コーヒー好きだった博明さんは、将来を見据えて独学で勉強を始め、お2人はごはん屋さんの物件探しを始めます。そして互いに50歳となる年の元日に結婚。それぞれアパレル会社を退職して、名田島へ移住。自分たちでコツコツとお店作りをし、去年5月に『名田島食堂』をオープンしました。
東京で27年間、働き詰めの毎日を過ごし49歳で故郷にUターン。子ども頃の夢を叶えた啓子さんと支える博明さん、応援するご家族、そして故郷を愛する地域の方々との心温まる交流を紹介します。

自慢の料理は、地元でとれたお米を使った季節ごとのランチメニュー。ピリ辛でごはんが進むよう味付けされた、タイ風の焼き鳥「ガイヤーン」や、「大豆ミートボール」に、地元の新鮮野菜を使ったこだわりのおかずが並びます。そしてもう一つの自慢が、大きな窓から見える名田島の美しい田園風景。四季折々、変化する田んぼを見ながら、美味しい料理と店内で焙煎から行うこだわりのコーヒーが堪能できると地元客からも大好評です。

美味しいご飯が自慢のお店ですが、モーニングやカフェタイムにはパンを使ったメニューも人気です。この日はお店の近くにあるパン屋さん『二度寝の長州』を訪れました。店長の石川さんは、新作の開発にも熱心で、いつも新作をお店に出す前に、ご夫婦に試食を頼んでいます。地元のブランド豚「鹿野高原豚」の軟骨をトロトロになるまで煮込んだカレーパンを試食し「食パン」を仕入れました。お店を開く前から『二度寝の長州』のファンだった啓子さん。出来立てのパンを食べて欲しいというのも啓子さんのこだわりで、朝、オープンと同時に仕入れに来ているのだとか。石川さんの美味しいパン、これからも頼りにしています!

お店に戻った啓子さんは、仕入れた食パンにハムやチーズをのせて焼き目を付けた「ホットサンド」を作りました。すると啓子さん、ホットサンドとコーヒーを手に、食堂を出て徒歩15秒のところにある『きまぐれ直売所』へ、ルームサービスです。こちらは啓子さんにとって特別な場所。近所のお母さんたちが作った野菜を偶数日の朝、“気ままに”販売している直売所です。安くて新鮮、そして美味しいので啓子さんもメニューに使う野菜はここで仕入れています。幼い頃から啓子さんを知っている地元のお母さんも、名田島に帰ってきたことを喜んでくれています。博明さんのことも「山口にピタッと収まっとる感じがする」と語り、すっかり地域に馴染んでいるのだとか。これからも温かく見守ってくださいね。

お店が休みの日、ご夫婦は車で15分ほどの『大海直売所』へ。地元の漁師さんがとってきた新鮮な魚介類を、刺し盛りにしていただきました。このご馳走を手に帰ったのは、啓子さんの実家です。幼い頃から食べてきた美味しい海の幸を囲み、華やかな食卓になりました。お2人は、「両親がサポートしてくれていなかったらお店はできていなかった」と語ります。東京で気付けなかった季節の移ろいを楽しみながら、共に同じ夢を見てくれるパートナーと共に、『名田島食堂』を守り続けてください。

楽園通信

名田島食堂

伊藤さんご夫婦が営む食堂。
田園風景を楽しみながら食事を楽しむことができます。
詳細はSNSをご確認ください。

営業日:土・日・祝日
時 間:午前9時~午後3時
(ランチタイム)午前11時~午後1時
モーニングプレート 1,000円
ランチプレート 1,250円~
ドリップコーヒー 550円